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プレイインステージから紐解くWorlds 2018

2018/10/10, 15:00 - BY RIOT GAMES

WORLDS

プレイインステージから紐解くWorlds 2018

 League of Legendsのプロリーグが頂点を争う“Worlds”が始まってから一週間以上が経ち、予選ともいえるプレイインステージが終了した。日本代表のDetonatioN FocusMe(以下DFM)がプレイインノックアウトに進出する快挙もあれば、Cloud9対Gambit Esportsのような熱戦も見られた。

 今回は今年のWorldsのメタ(チャンピオンや構成の環境、流行り)を、プレイインステージのデータから解説していく。DFMは惜しくも敗れてしまったが、これからもまだまだ続くWorldsについて詳しく知り、観戦を楽しもう。


 

Worlds 2018、今年のOPチャンピオンは?

https://www.youtube.com/watch?v=kcPjK6XzHu0

 

 まず最初に、メタを読み解くのに大切なのがOP(Over Powered、強すぎるという意味)チャンピオンの把握だ。OPチャンピオンのOPたるゆえんは、単に強力で対処法が少なく、ピックするだけで構成が強くなるところにある。もちろん、そんなチャンピオンは敵に使われたくないので、必然的にBANされることが多い。

 というわけで、BANされた回数が多いチャンピオンを見ていこう。プレイインステージで行われた42試合のデータから見ていくと、BAN回数の1位はエイトロックスの31回、2位はアカリの25回、3位はアーゴットの23回となっている。これらのチャンピオンは、OPチャンピオンだと言って間違いない。
 

 エイトロックスはスキルの当て方でダメージが増加することとEのパッシブにより与えたダメージを回復する効果によって、相手にとってダメージの計算がしづらいチャンピオンで、さらにはUltによる生存能力(Ult発動中なら蘇生可能というもの)、高いAoE(範囲攻撃)ダメージなどもあって集団戦でも戦闘力が高い……そんな理由もあり、エイトロックスはドラフト関与率(ピック+BAN/試合数)が100%という驚異的な数字を叩きだしている。このエイトロックスへの対処法としては、高い1対1性能を凌駕できるアーゴットをピックするのが一般的だ。そのため、アーゴットがBANされれば、エイトロックスをBANするという流れも多く見られた。
 

 アカリはアサシンとしての特徴である高い単体ダメージを持ちながら、ステルス能力でタフに立ち回り、相手の陣形を乱すことができる。相手にアカリがいる場合、ステルスで隠れているアカリが出てくるまで待ち続けていればほかのチャンピオンに攻撃されてしまうし、かといってアカリを放置しておけばADCが倒されてしまう……という苦しい2択を迫られることになる。対処方法としては、アカリからADCを守れるチャンピオンがピックすること。ガリオのUltでADCから距離を取らせるか、ジリアンのUltで復活させるか、あるいはタム・ケンチなどのサポートが守るか。どういった方法を取るにしろ、アカリを相手にするならADCを守る手段が必要になるだろう。
 

 アーゴットは極めて高い1対1性能、そしてUltにより最大75%ものスローを4秒間与え、敵の体力が25%以下になったらトドメを刺すという、キルの回収が得意なチャンピオンだ。エイトロックスと同じく、ドラフト関与率が100%となっているチャンピオンでもある。Evi選手がKaBuM! eSports(以下KBM)のZantins選手のエイトロックスをソロキルしていたように、解放の魔導書の併用により、豊富なサモナースペルでソロキルの可能性を上げられるのも特徴として挙げられる。対処法としては遠距離攻撃が得意なチャンピオンでソロキルされないように立ち回ることで、Worlds以前のデータではライズやブラッドミアといったチャンピオンが使われることが多かった。今年のWorldsでもっとも注目を浴びているチャンピオンだが、どのスキルもかなり癖が強く、すべてのプレイヤーが使えるようなチャンピオンではない。そのため、今年のWorldsでは、アーゴットが使えるプレイヤーがチームにいる、というだけでドラフトのアドバンテージが得られるだろう。


 

ドラフトを紐解く DFM vs KaBuM戦

https://www.youtube.com/watch?v=-RRIIitB21Q

 

 OPチャンピオンを把握したところで、ドラフトがどのように行われているかを、DFMにとってプレイインステージの初戦となったKBM戦を例に解説していこう。

 ドラフトではゲーム全体で自分たちがやりたいことが上手くいくように、そしてそれを悟られないように進めていき、なおかつ、相手の狙いは挫くようなBAN/ピックが必要になる。

 

 まずはBANフェイズから見ていこう。DFMはラカン、パイクといった敵を捕まえるのに優れたキャッチ性能の高いサポートチャンピオンをBANしていく。ザヤとラカンという強力な組み合わせを同時に取られるのを恐れたのもあるが、キャッチは特に機動力のないADCが嫌うものであり、DFMがどういったADCをピックするのかが少し見えてくる。一方、KBMはカミール、ハイマーディンガーといったDFMの選手が得意なチャンピオンをBANしていく。これは自分たちの構成が上手くいくように行ったBANではなく、Evi選手とCeros選手へのリスペクトを込めたBANだろう。また、KBMがアーゴットをBANした後に、DFMがエイトロックスをBANしている。

 

 次にピックを見ていこう。DFMは、ファーストピックでヴァルスを選択した。ヴァルスは機動力こそないが、ポーク(遠くから体力を削ること)やUltによるエンゲージ、さらに割合ダメージでタンクの体力を削るなど、多くの役割を担えるチャンピオンだ。そのため、ヴァルスだけだとチームの狙いが見えづらく、ファーストピックで選ぶのが効果的なチャンピオンと言えるだろう。対するKBMは、ファーストピックでスレッシュとトリスターナというBotコンビをピックしていく。DFMがキャッチを嫌ったBANをしているため、スレッシュのフックで敵をキャッチしようという狙いが見えてくる。トリスターナはコアアイテムが3つ揃ったあたりから爆発的なダメージを出す、ゲーム後半に強いレイトキャリーであり、KBMのTitan選手が得意としているチャンピオンでもある。

 

 さて、ここまででKBMの残りのチャンピオン選択が少し見えてくる。トリスターナがダメージを出せるようになるまで時間がかかるため、ここからは序盤や中盤にパワースパイク(強い時間帯のこと)を迎えるチャンピオンをピックする可能性が高い。そして、この時点でKBMはキャリーを守るプロテクトキャリーの構成を取りづらくなっている。ヴァルスという、ポークが可能なチャンピオンが取られているからだ。これは「構成じゃんけん」と言われるもので、ディスエンゲージ(戦闘からの離脱)が得意なADCを守る構成(プロテクトキャリー構成)は遠くから体力を削ってくる構成(ポーク構成)には価値が薄く、ポーク構成はすぐさま戦闘を仕掛けてくる構成(エンゲージ構成)には弱く、エンゲージ構成はプロテクトキャリー構成にはカウンターされてしまうという相性順がある。この相性に当てはめると、KBMに残された選択肢はエンゲージ構成か、じゃんけんに当てはまらないキャッチを重視した構成を選択するのが妥当となってくる。

 

ここまでの流れのうえで、DFMとしてはKBM側のエンゲージとキャッチへの対抗策が必要になってくる。そこでセカンドピックに選んだのは、キンドレッドとタム・ケンチだ。キンドレッドはUltにより4秒間死なないフィールドを作り出すことができるので、エンゲージに対して生き残ったあとのカウンターが可能で、キャッチに対しても味方が寄るための数秒間を稼ぐことができる。タム・ケンチは対キャッチ構成の最終兵器であり、味方を食べることでキャッチから救出することができる。DFMは相手のチーム構成を誘導しつつ、それに対応できるチャンピオンを選択していく。対するKBMはヴァルスを警戒して、エンゲージがキャッチのどちらかの構成しか選べないため、単体へのダメージが高いJungleであるタリヤをピックしていく。

 

 このセカンドBANフェーズまでの3体のチャンピオンで、DFMがかなり優位にドラフトを進めていっていることがわかる。ファーストピックでヴァルスを取ったことにより、KBMをエンゲージかキャッチという2つの選択肢にまで絞り、DFMはそれに対するチャンピオンをピックしている。そして、ここでDFMはルブランとゾーイをBAN。どちらのチャンピオンもキャッチに優れたスキルを持っているチャンピオンだ。これに対して、KBMはジグスとナーをBAN。ジグスはCeros選手が得意としており、強力なポークスキルを持つチャンピオンだ。セカンドBANフェーズは、キャッチ構成とポーク構成に対して牽制をしあう形となった。

 

 セカンドピックフェーズでは、まずKBMがシンドラをピックしていく。シンドラはUltによる単体への瞬間火力が特徴で、キャッチ構成の代表的なチャンピオンだ。メイジとしては射程があまり長くない部類なので、ポークには苦手意識があり、シンドラをピックするためにジグスをBANしたと言えるだろう。そしてDFMのラストピックだが、カルマとオーンをピックしていく。ジグスがBANされたため、ここではポークではなく、キャリーを守る構成に寄せてきた。KBMがここまででキャッチに強力なチャンピオンを多くピックしてきたため、味方単体へのシールドが可能なカルマはかなり有効なピックだ。カルマと同じようなMidレーナーにルルがいるが、あちらは近接チャンピオンが攻めてきたときに味方を守るのが主な役目となっている。最後にKBMは、ここまででチームにないエンゲージのツールが必要になるため、サイオンをピック。サイオンはUltを使ってCCを無効化しながらエンゲージができるため、ヴァルスに対して有効なチャンピオンではあるが、カルマのスキル、移動速度増加によってかわされる可能性があるため、KBMにとって理想的なドラフトであったとは言い難い。

 

 このDFM vs KBM戦は、全体的にDFMがドラフトの主導権を握っていた。ファーストピックでヴァルスを取ることにより、Ceros選手が持つジグスというカードをチラつかせながら、ポーク構成を狙っているように思わせ、最後にはキャッチに対応するためのチャンピオンを集めてきた。DFMの劇的な逆転勝利に終わったこの試合には、DFMの丁寧な下準備があったのだ。


 

Worlds2018、注目すべきチャンピオンは?

https://www.youtube.com/watch?v=rDTeNdi1FTI

 

 今年のシーズンはLoLのプロシーン史上でもっともピックされたチャンピオンの種類が多かったシーズンであり、メタが激動した1年だった。Summerシーズンは、Midのチャンピオンにゴールドを集めるゴールドファンネリング戦略や、ADCのポジションにメイジやファイターを配置する0マークスマン構成などのこれまででは考えられなかったメタが開発され、多くのチームが変化を求められることとなった。

 そんな今年のWorldsは、この1年を表すかのように多くのチャンピオンがピックされている。プレイインステージまででその数は75種類で、昨年の同じタイミングと比べると12種類増えている。ここでは、その豊富なチャンピオンから、BAN/ピックの常連である注目のチャンピオンを紹介していこう。

 

イレリア

イレリアは17回BANされ、Midで6回ピックされている。集団戦でバックラインに飛び込む動きが強力で、エンゲージ構成の肝としてピックされることが多い。イレリアがピックされたときに注目したいのは、Midレーン周辺の動きだ。イレリアは現在使われているMidレーナーの中でも、群を抜いてソロキルを起こしやすいチャンピオンであり、イレリアがピックされた試合はほぼMidレーンが中心のゲーム展開になる。Midでのカウンターガンクや、視界の奪い合いに注目だ。

 

グラガス

グラガスは14回BANされ、Jungleで13回、Supportで4回ピックされている。主に使われるのはJungleだが、Supportでも十分な活躍が見込めるという、ふたつのロールで選択できるチャンピオンだ。とはいえ運用だけでなく、Jungleのルーンとしてプレデターが人気になったことでキャッチ能力が強化され、Ultによるディスエンゲージでキャリーを守る役割もこなし、さらにはプレイインステージのG-Rex対Gambit Esports戦ではヤスオとのコンボでエンゲージを決めるなど、どんな構成にもマッチする柔軟さがピック回数の増加に繋がっているようだ。

 

カイ=サ

カイ=サは6回BANされ、ADCで26回ピックされている。ゲーム後半でのダメージの高さと持ち前の生存力を持っており、終盤まで試合を持ち込めば無類の強さを誇るチャンピオンだ。また、2種類のアイテムビルドが採用されており、ナッシャー・トゥースやラバドン・デスキャップを購入するAPバースト型と、ストームレイザーやルナーン・ハリケーンを購入する継続戦闘力に長けたADC型が存在する。どちらのビルドもグインソー・レイジブレードを購入するので、タンクに強いのは同じだが、スキルのダメージを優先するか、AAのダメージを優先するかという違いが出てくる。

 

ラカン

ラカンは18回BANされ、Supportで13回ピックされている。集団戦のエンゲージが得意で、エンゲージやキャッチの構成でよくピックされるが、ザヤとの組み合わせではどんな構成にもマッチするチャンピオンだ。ラカンは現在メタなチャンピオンの中でも最もエンゲージの確定性が高く、集団戦の勝敗はラカンの仕掛け次第、というシーンは頻繁に見られるだろう。集団戦が始まりそうなときは、ラカンの動きに注目だ。


 

10日、17時からグループステージが開幕。年に1度だけの激戦を見逃すな

 LJLにとっては、DFMがプレイインノックアウトに進出するという快挙を成し遂げ、あのCloud9を追いつめるなど、ドラマが生まれたWorlds 2018。ただ、今年のWorldsはまだ始まったばかりだ。グループステージからは、韓国第1シードのKT Rolsterや、昨年度優勝のSamusung Galaxyのメンバーを擁する韓国第3シードのGen.G、2018 MSIを制した中国第1シードのRoyal Never Give Upといった優勝候補が出場してくる。

 

 グループステージは10月10日の17時から開幕し、英語放送がwatch.lolesports.comで視聴できる(現在、日本語の放送は予定されていない。なお、準決勝、決勝戦については日本語放送が予定されている)。観戦をより楽しめる観戦ミッションも用意されており、詳細はこちらのページで確認可能だ。実はこの観戦ミッションには、表示されていない隠しミッションがあり、多くの試合を観戦することで達成されるものがある。また、例年通り、Pick’emイベントも開催中だ(グループステージの予想は10月10日16時で締め切り)。Pick’emとは、グループステージとノックアウトステージの順位を予想するイベントで、参加するだけでもポロのアイコンがもらえる。詳しい情報はこちらのページで確認だ。観戦ミッションやPick’emといったイベントを楽しみながら、熱いグループステージの戦いを見届けよう。

 

ライター:つきひ