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「練習をすればそのぶん上手くなれる」

2017/02/21, 18:00 - BY RIOT GAMES

LJL

「練習をすればそのぶん上手くなれる」

苦い勝利

Round5、最終対戦カード「RJ vs DFM」の試合後、勝利チーム DFM から viviD をインタビュールームに呼んだ。

――なぜか部屋の空気が重たい。彼をふくめ、今日の勝者であるはずのチーム関係者たちがどこか浮かない顔をしている。

そんな空気のなか、おそるおそる試合の感想を聞くと、viviD は「普段はワードを刺しに行ってもあまりキャッチされないのですが、今日の自分はそういうミスがあったので……」と目線を落として喋りはじめた。いつもの勝気な viviD とは別人に見える。まるで敗者にマイクを向けているような気分だ。

「練習してきたのにチームとしてやってはいけないミスがたくさん出てしまいました。勝てたのは嬉しいけれど、今日は実力をしっかり発揮できたかと言われたら、全然ダメだったなと思います。」

勝利の喜びよりも、実力を発揮できなかった残念さのほうが大きい。だからこそ、試合後、DFM メンバーたちがあまり嬉しそうな表情を見せなかったのだと viviD は言う。

だが、それでも勝利は勝利だ。

そして、リーグ前半を無敗で終えるという結果を出し、まだ改善点がある、レベルアップする伸びしろがある、と言えるのだとすれば、それは良いことかもしれない。

「練習をすればそのぶん上手くなれる」

viviD が以前所属していた韓国プロチーム「SBENU Sonicboom」では、LCK に昇格こそしたものの、なかなか勝利をあげることができない厳しい時期が続いた。そして、viviD 本人の出場機会も少なかった。

ともすればモチベーションが下がってしまいそうな状況のなか、彼は寝る間を惜しみ、エナジードリンクを多飲しながら、毎日 16 時間 ~ 18 時間もただただ練習をし続けていたという。

「勝てないことはツラかったですが、練習さえすればなんでも出来るようになると思っていて、練習がとても楽しかったです。練習が楽しくなかったら、きっと今ごろ辞めていたと思います」

今から 4 年前、セミプロとして活動を始めた頃から、彼は「怠けてはいけない」「練習量は常に保たなきゃいけない」「練習をすればそのぶん上手くなれる」というポリシーを持ち続けてきた。

ちなみに、この「練習量」について viviD は、「日本と韓国の選手の一番の違いだと思う」という持論を持っている。韓国人は負けん気が強い選手が多く、1 日に十数時間練習するくらいは当たり前なのだそうだ。

チームとしても、韓国では 1 日に「スクリム(練習試合) 4 回+ソロキュー 20 回」など、言葉通り "死ぬほど" 練習をする。さらに韓国では監督やコーチによる統制が厳しく、たとえば監督が「今日の休憩は 1 時間だけだ」と言ったら、それしか休めない、といったこともあるそうだ。

「日本は休み時間が決まっているし、チーム内に自由な雰囲気もありますね」と viviD は日韓の環境の違いを語るが、彼にとっては今でも明け方の 5 時頃まで練習することは珍しいことではない。

この1年が彼にもたらした変化

そういった彼のストイックさは韓国時代から変わらないが、日本に来て変わったこともある。たとえば、ゲームにおける彼のマインドだ。

「昔は自分が中心でゲームを作りたい、という考えが強かったんですけど、今は他の人のことも考えて譲ることもあります。それで自分の楽なプレイができなくなったとしても、"それでも自分はやれる" と思うようになりましたね」

チーム内の行動だけでなく、他チームに対する目線にも変化があった。

当初、彼のなかでは国内チームの選手たちの評価は低く、全く意識していなかったが、今では高く評価をするようになってきているのだ。

彼にこの変化をもたらしたのは、去年の Summer Split だ。

Spring で DFM は全勝して IWCI へ出場。Summer では新ジャングラーが加入し、Round2 までは「このチーム強いな。このあとも絶対負けないでいけるな」という感覚だったらしい。

「その後も練習をすごく頑張ったんですけど、うちのチームはあまり成長できなかった。結局、Round2 までの実力のまま成長できず、Round10 までいくことになってしまいました。」

ライバルチームの選手たちがどんどん上手くなっているように感じ、彼の中に焦る気持ちも生まれた。

そして DFM は、Summer 決勝戦で RPG に敗北。

viviD にその時はどんな気持ちだったか尋ねると、少し間をあけて「悲しかった」と答えた。

来日して以降、記憶の片隅に追いやられていたが、SBENU 時代に負け続けていた頃の感覚が、この大きな敗北によって彼の脳裏に蘇ったそうだ。

そして、それまで「DFM が一番強い」と強気にかまえていた彼も「他のチームもどんどん強くなっているし、このままではうちもマズい」と態度を改めた。

「負けたことで、もっともっと頑張らなきゃいけない。みんなで一緒に頑張って優勝したい。という思いを、改めて心に刻みました」

彼は昨シーズンを終えて一度契約終了となったが、そういった思いから DFM と再契約を行うことを決意した。

2017 年、成長を続ける DFM

変化があったのは、viviD 個人だけではない。DFM はチームとして成長し続けている。

去年までの DFM では、韓国人選手 2 人の間で「こういう仕掛けをしよう」とアクションプランを決め、日本人選手に「こういうことするから」と英語で説明していた。

言語的な壁があったのか、日本人選手からの意見はなく、「ここにワードがほしいとさえ言ってくれなかったですね。ひょっとしたら自分が日本語を理解できてなかったのかもしれないですが……。」と viviD は言う。

そんな去年と比べ、今年は日本人選手から「こうしよう、ああしよう」という発言が増えており、彼は「今年は、もっと強くなるんじゃないかと思っています」と期待をにじませた。

「去年は日本語がよくわからなくて、チームメイトの意思が理解できませんでしたが、今はゲーム内の言葉であれば 80% ぐらいは日本語を理解できます。」

その結果として、実際に練習のときでもコールが多くなっているという。

「LoL は情報が大切なゲームで『どこにスキがあるか』を狙っていかなきゃいけない。今はそういう部分に重点を置いて練習できているので、今後うまくいきそうです。」

そして、DFM は勝ち進みながらも、JUNGLE を 2 選手体制で運用したり、Round4 からドラフト行うコーチを Awaker から Dragon に切り替えるなど、細かなチャレンジを繰り返している。

試行錯誤を重ね、DFM がこれからどんなチームに仕上がるのか、かなり楽しみだ。

――変化と言えば、今シーズンに入ってから SUPPORT ロールが「ゲームに影響力を与えづらくなっている」とよく言われるが、選手としてはどう感じているのだろうか。

viviD に問うと「その意見には僕も同意します」という答えが返ってきた。去年まではレーン戦にそんなに集中せず、ロームをしても問題なかったが、今のメタではレーン戦に集中しなくてはならず、他のレーンに顔を出しづらくなったという。

「そういう意味では、SUPPORT がチームに与える影響力は落ちてるのかなと思います。レーン戦で勝っているときは以前とそんなに変わらないですが、レーン戦が五分五分ぐらいだとそう感じますね」

Bot 対決の行方は Round6 で

彼の目標。それはプロ選手ならだれもが目指す大舞台、World Championship(WCS)に出場することだ。その目標を達成するために、彼は日夜練習を続けている。

「今ゲームをやっているのも、WCS に出るということが目標ですし、その目標を達成できていないからこそ、今もゲームを辞めることができていません。」

どんよりとした雰囲気のなかでスタートしたインタビューだったが、こうして話していくなかで彼の表情にも明るさが戻ってきた。

ここまでの彼の話でわかってもらえると思うが、試合で負けてしまったり、今回の RJ 戦のようにパフォーマンスに納得がいかなかったり、といったマイナス要素こそが、彼にエンジンをかけるための燃料になっている。

エンジンがかかり始め、はやく帰って練習に打ち込みたいだろう彼を、これ以上引き留めるわけにもいかない。よって、そろそろこの記事はおしまいだ。

最後に YutoriMoyashi(RPG)による、あの「LJL の Bot レーンのなかでは自分たちが一番強い」発言について一言だけコメントをもらっておこう。

「初戦(RPG 戦)は僕たちが勝ったのに、な~に言っちゃってんだろ~って感じです(笑)」

いつもの勝気な viviD が、そう笑いながら答えてくれた。

この Bot レーン勝負は、Round6 の対戦カード「DFM vs RPG」に持ち越そう。

 

ライター:オオギ