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MSI 2018でPGMが見せた光明と課題

2018/05/14, 17:00 - BY RIOT GAMES

MSI

MSI 2018でPGMが見せた光明と課題

 PENTAGRAM(以下PGM)はLJL 2018 Spring Splitで4連覇を果たし、MSI 2018に挑んだ。しかしながら結果は1勝5敗、日本は今回も「経験を持ち帰る」結果に終わった。

 選手たちは試合後のインタビューで悔しさを口にしつつも、これを糧にもっと強くなってみせると、不屈の意思を見せた。

 これまで日本が参戦した世界大会は大きく分けて7つ。IWCI 2015、IWCQ2015、IWCI 2016、IWCQ 2016、MSI 2017、Worlds 2017、そしてMSI 2018。IWCI 2015以外はLJL公式YouTubeからアーカイブを見ることができるが、そのいずれでも日本は芳しい成果を挙げられていない。

 なかなか世界大会で、存在感を放てずにいる現状。

 その要因はどこにあるのだろうか。


 

なぜ最後の試合で、PGMは勝てたのか

 勝因と敗因を考えるために、負けた試合ではなく勝った試合に着目してみよう。PGMはMSI 2018のDay4、最後の試合でOPL(オセアニア)のDire Wolves(以下DW)相手に勝利した。結局、それが唯一の勝ち星となるのだが、重要なのはその試合展開だ。

 まずはピックだ。PGMはフィオラやカミール、イレリアといったスプリットプッシュの得意なチャンピオンをバンして、DWに集団戦を意識した構成を強いた。さらにケイトリンとモルガナという強力なレーニングを行える組み合わせを選出し、序盤の有利を中盤からの展開に繋げようという狙いを見せる。

 対するDWは、ラカンやガングプランクのような集団戦への影響力が激しいチャンピオンをバンしてPGMの力をそぎ落としつつ、中盤以降パワーを増し続けるアジールとジンをピックした。

 そして試合序盤。PGMはDWの仕掛けに対してカウンターを行う形で大きな有利を作った。有利なマッチアップのBotから試合を動かし、ファーストタワーを10分で破壊して、その後もコントロールを握り続ける。

 問題は20分からだ。

 全体で7000ゴールドもの差を築き上げたPGMは、バロンナッシャー周辺の視界のコントロールを行い始める。しかし同時に有利を伸ばす動きができず、ゴールド差は少しずつ縮まっていく。

 さらにバロンを開始することでDWに揺さぶりをかけるも、チームとしての意思統一が図れず決定的な有利を生み出すことができない。攻めあぐねる時間が続く。

 その後、PGMはドラゴン側でもう一度集団戦を行って勝利し、バロンを獲得してそのままネクサスまで破壊した。

 この試合のMVPは、YutoriMoyasiとGaengのBotコンビだろう。試合のすべてのシーンを通して、高いパフォーマンスを発揮し続けていた。特にGaengのモルガナのキレは凄まじく、一勝もせずに帰れないという凄みのようなものを感じた。

 大きな勝因は、PGMがDWの狙いを読み適切な対応を行えたことだろう。いわゆる後の先というものだ。敵Junglerの位置や通りたいルートを考え事前に視界をとることで、DWの動きを序盤から制していたように思える。

 さらに自分たちの強みを理解し、それを押し付けることに成功していたこともある。個々のプレイヤーの強さや序盤の試合運びにおいて、取り立てて日本が他国に劣っているようには思えない。

 しかし一方で、私はこの試合に「日本リーグっぽさ」を感じた。


 

「試合展開の速さ」の正体

 LJLでは、試合中盤が長引く傾向にある。ウェーブのコントロールや、意思疎通の齟齬によってオブジェクトを確保し損ねるなど、原因は多岐に渡るが、どう試合をたたむかという点において日本のリーグは迷いを持っているように見える。

 選手も実況解説も、よく「試合展開の速さ」という言葉を口にするのは、有利をとった後の試合展開に課題を抱えているからだろう。

 先ほどとりあげたDWとの試合は、それが表れている顕著な例だ。

 自分たちに有利なバンピックを行い、試合序盤で有利を作る。PGMはここまでを、他の試合でも行えていた。

 そして試合序盤で作った有利を、中盤で広げる。ここに大きな問題がある。

 中盤で試合の流れが停滞しがちなせいで、そこで隙を見せて敵チームに食いつかれてしまうのだ。DWでの試合では、中盤でゴールド差を縮められていた。

 実際のところ序盤で多少有利を作っても、相手の動きに振り回されて対応に追われているうちに、その程度のアドバンテージは消え去ってしまう。下手をすると、ローテーションの隙を突かれて大惨事になってしまうことすらある。

 相手に準備を整えさせず、序盤の有利をスムーズに中盤につなげること。これが「試合展開の速さ」という言葉の正体だ。

 まさに日本のリーグが必要としているものではないだろうか。


 

PGMが見せた光


 ここまで課題ばかりを見てきたが、PGMは今回のMSIで可能性も示してくれた。それはバンピックや序盤の展開において、彼らが渡り合えているという点だ。

 2016年の国際大会では、日本はいいようにあしらわれているように見えた。しかし2017年に出場した大会では敵の仕掛けをしのぎ、反撃できるようになっていった。

 そして今年のMSIで彼らは、序盤に自分たちから仕掛け、有利を築く姿を見せてくれた。

 もちろんそれだけでは勝利に手が届かないのが現実だが、彼らは少しずつ世界に適応している。

 PGMはもともと、シーズン中に少しずつ調整しながら調子をあげ、最後には勝つというスタイルのチームだ。彼らは何度も世界に挑みながら、自分たちのチューンアップを行っている最中なのだろう。

 今回のMSIで明らかになった、勝利に向けて試合中盤をどう動かしていくかという課題は、なにもPGMに限った話ではない。日本のチーム全体が同じ悩みを抱えているはずだ。しかしその課題を解決すれば、日本が世界と渡り合えるようになる可能性はぐっと増える。

 もうじき、LJL 2018 Summer Splitが開催される。そこで行われる戦いは、これまでよりも苛烈なものになるだろう。

 それぞれのチームがこの課題にどんな答えを出すのか、今から楽しみだ。


 

ライター:霞