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プロゲーマーがツラいって誰が決めた。

2018/02/28, 19:00 - BY RIOT GAMES

LJL DFM

プロゲーマーがツラいって誰が決めた。

 プロゲーマーと聞いて、どんな連想をしますか?

 ストイックで長時間の練習、飛び交う怒号、夜ふかし、選手寿命が短い――。

 はい、どれも間違ってません。でもそれだけだと、プロゲーマーはすごいツラい職業ということになっちゃいますよね。

 私がこれまでに会ったプロゲーマーの中には、正直に言って「我慢強い」とは言いがたいタイプの選手もいました。でも彼らは相当な練習をこなし、コーチやチームメイトの厳しい指摘にもめげずにプロとして戦っていました。

 なぜでしょう。理由はひとつしかありません。プロゲーマーは楽しい仕事だからです。

 少なくとも、辞めてしまうよりもプロゲーマーでいることが幸せだと感じているからこそ、彼らは再び厳しい環境に自ら飛び込んでいけるのです。

 そこで今回は、私が知る中でも有数にプロゲーマー生活を満喫しているように見える2人に、その楽しさを教えてもらいに行ってきました。

 彼らはリーグ・オブ・レジェンド(以下LoL)の強豪チーム・DetonatioN FocusMe(以下DFM)に所属するCerosさんとEviさん。

 どちらもリーグ・オブ・レジェンド・ジャパンリーグ(以下LJL)の選手で、2014年のリーグ創設時からトップレベルで戦い続けていて、国際大会の経験も豊富な、第一人者と呼ぶに相応しい2人です。


 

Ceros「人生で体験したことがない感情になる」

――CerosさんとEviさんに単刀直入に聞きますが、プロゲーマーって楽しいですか?

Ceros「練習で自分がうまくなってる手応えがあった時も楽しいし、試合は大体いつも楽しいです。ギリギリの勝負で勝ったときとかはほんと、これまでの人生で体験したことがない感情になりますね」

Evi「プロとして同じレベルの仲の良い友達と、勝つっていうひとつの目標に向かって一緒に努力して、試合に勝利したり目標を達成したりする。これはムチャクチャ楽しいです」

――これまでに「やめようかな」と思ったことありますか?

Ceros「(即答で)ないですね。やめたら何か別の仕事をすることになるんですけど、プロゲーマーは自分にあってると思うし、他の仕事より楽しいと思っているので」

Evi「僕の場合は、今シーズンが始まる前は正直やめようか相当迷ってました。同じチームのみんなと世界大会に向けてやってきて、それで本番で一回も勝てなかったんですよ。その時に少し、何のために頑張ってきたんだろうって気持ちが出てきちゃって……。世界の壁が高くて、なんかこれ、頑張って先があるのかなって。疲れたしやめようかなって本当に思ってました」

――それは驚きです。今こうしてEviさんのプレーが見られているということは、「続ける」という判断をどこかでしたと思うんですが、どういう決断があったんですか?

Evi「オフシーズンはいろいろやりましたよ。他の競技のプロの人が書いた本を読んだり、海外旅行に行ったり、話を聞いたり。それは、自分のモチベーションがまた増えないかなと思って。外側の世界を知りたいというか。それでそういうのを色々見た後に、もう1回頑張ってみようって思えたんです」


 

Evi「一番メンタルにくるのは勝てないこと」

――では逆に、プロゲーマーを続けるうえで一番キツイのはどんなことですか?

Ceros「キツイっていうのとはちょっと違いますけど、特にLoLは5人でやるので、チームメイトと感情的にならずに話をする力は必須ですね。悪いところを指摘されたら受け入れて、逆に人の問題点も冷静に伝えて、とか」

Evi「練習が長い、とかは全然キツくないんですよ。それよりもやっぱり、勝てないのが一番メンタルにくる。練習してもうまく行かない、前に進んでる感覚がない、それで試合に勝てない、っていうのが一番キツイです」

――自分も含めて、メディアはつい「どん底からの復活」とか「痛みに耐えて」みたいなストーリーに頼りたくなっちゃうんですけど、そうやってツライ場面がフォーカスされがちなことについてはどんな感覚ですか?

Ceros「個人的にはプロゲーマーっていう仕事を楽しんでますし、楽しい仕事だって見られたらいいなと思いますけど、日本人の感覚的に仕事を楽しんでるっていうのがどう見えるかは心配でもあります。特に今はプロゲーマーっていう新しい職業だっていうこともあって、楽しそうに見えると、『こいつら楽してる』って思われそうで、そのバランスが難しいですね(笑)。でも自分の場合はほかの職業を選んだ場合より楽しめていると思うので、そこは理解してもらえたら嬉しいです」

Evi「たとえば練習時間じゃない時にチームメイトとサッカーをしてたとして、それを『いいから練習しろ』みたいに言われちゃうのはやっぱり悲しい。仲いいんだな、いい雰囲気のチームだな、って見てもらえると嬉しいです。もちろん練習をちゃんとやったうえで、というのは絶対条件ですけどね」


 

2人が思う「プロに向いてる人」。

――実は今シーズン、LJLに出場してる日本人選手は新人が1人もいません。ツライことがあっても、最終的には「続けよう」と2人が思うくらい魅力的なプロゲーマーという職業に、これからどんな人が入ってきてほしいですか?

Ceros「ゲームの楽しみ方として、うまくなりたい、オレはこんなにうまいぞ、って証明したい気持ちが強い人は向いていると思います。僕もチームに入る前から、勝ち負けを争うガチの試合が好きだったし、そういう人に来てほしいですね」

Evi「そうですね、ひたすらうまくなりたい、相手に勝ちたいっていう気持ちが強い人はうまくいく可能性が高いと思います」

 

 2人の話しぶりからは、プロゲーマーの厳しさはもちろんですが、その特別な楽しさ、昂揚感も伝わってきました。

 彼らの真剣な表情と同じように、競技生活を楽しんでいる表情や、チームの仲のよさもこれまで以上に多くの人に届くといいな、と感じます。トップにいる人がいつもツラそうに見える世界なんて、誰も飛び込みたくはないですから。

 eSportsという言葉には「スポーツ」が入っていることもあって、ついスポ根や汗と涙のストーリーに乗せて理解しそうになりますが、そこには共通点と同時に違うところも結構あります。

 ということで最後は、Eviさんの言葉を紹介して終わりにしようと思います。

 「eSportsがスポーツかどうかは正直どっちでもよくて、観て楽しいと思ってくれる人がいることが大事だと思うんです」


 

ライター:八木葱