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個の力、群の力

2016/08/14, 17:50 - BY RIOT GAMES

LJL

個の力、群の力

サイドはどちらの手に?

前回のPromotion SeriesでRJを打ち破り、見事LJL進出を果たしたSCARZ。しかし分厚い本戦の壁を前に成績が振るわず、今回は挑戦を受ける側としてPromotion Seriesの舞台に立つことになった。それに挑むのはOVER DRIVE。Challenger Seriesをトップの戦績で走り抜け、LJLへの挑戦権を得たチームだ。

ところで、パッチの変更によってファーストタワーの破壊にゴールドのボーナスが入るようになったことはご存知だろうか。これはスワップによって序盤のレーン戦を観る楽しみが失われてしまった現在の大会において、そのあり方を変えようという方針のもとで行われた変更だろう。しかしその副産物として、大会においてブルーサイドの勝率が跳ね上がるという現象が起きている。LJLではすでに16回連続でブルーサイドが勝利しており、ここでブルーサイドが勝てばそれがさらに伸びるという状況だ。

そしてサイド選択の結果、今回の戦いではSZがすべてブルーサイドでプレイするという展開になった。果たして有利と言われるブルーサイドのSZが勝利するのか、ODがブルーの連勝記録をストップさせ逆境を乗り越えてLJLに乗り込むことになるのか、少し面白い戦いが始まることになった。

1戦目

入れ替え戦ということで両チーム緊張もあるであろう中、ついに1戦目がはじまった。SZはニダリーを中心に序盤の流れを作り、中盤からはシヴィアのアルティメットを活かしてブラッドミアとトランドルが後衛に飛び込んでいく構成をつくった。対するODは序盤強力なカルマをMIDにおくことで敵のジャングラーを牽制しつつ、集団戦でガングプランクとルシアンが火力を出していく狙いだ。

気になるのはカウンタージャングルの得意なニダリーをピックしたvivyに対してODがどう対応するかという点だが、モンスターの処理速度と機動力で勝るvivyは2周目のジャングリングから早々にODのジャングルを食い荒らす。自陣のジャングルを回っていれば不利になると判断したoverthere(グラガス)は自らも敵陣に忍び込み、ワードを置いてカウンタージャングルを仕掛けようとするが、処理速度で勝るニダリーに追いつかれてしまいうまく動けない状況に。それならばということで、overthereは思考をギャンクに切り替える。vivyがジャングルを回っている隙に自分はBOTへギャンクをしかけ、見事に2キルを獲得。SZの思惑をやすやすとは成り立たせない。

しかしSZもLJLをシーズン通して戦ってきたチーム。揺らぐことなく方針を貫き、ファームでoverthereに対してレベル差をつけたvivyは臆することなく敵ジャングルへ仕掛け、レッドバフ付近でoverthereを仕留める。レッドバフをおいしくいただいた後は、そのままBOT側のジャングルへ流れてブルーバフもゲット。ジャングラー同士の差をさらに広げていく。

そして決定的なのが12分、BOTでアルティメットを使った後のDay1とKazuをODが狙うシーンだ。ダイブしてきたODをKazuが死の間際まで拘束し続け、敵が団子状態になったところへalleycat(ブラッドミア)のアルティメットが覆いかぶさった。ODはまだ装備が整いきっていない時間にダイブをしてしまったこともあり、カウンターがもろに刺さって後退を余儀なくされる。しかしそこでシヴィアとニダリーが追撃に成功!敗走する背に食らいつき、あれよあれよという間にエースを獲得し、大きな有利を手にすることに。

ODは奪われた有利を取り返そうと奮闘するものの、何かを得るたびにほかの何かを犠牲にせざるを得ず、その差はなかなか縮まらない。おまけに有利を得たArfoad(トランドル)がギアを上げながらTOPレーンを攻めたて、その対応に向かえばほかのオブジェクトを奪われてしまう。

なんとか反撃の芽を探るOD。22分には動きのバラけたSZの隙をついて3キルを獲得し、そこからバロンへ直行するが、Kazuの時間稼ぎによってその目論見を外される。おまけにArfoadがテレポートしてきてoverthereとNeat(ルシアン)を倒されてしまい、バロンを明け渡してしまう。結局タワーもドラゴンも獲得できないまま、LJL本戦出場チームのパワーを見せつけられる顛末となった。

2戦目

引き続きブルーサイドのSZ。Neatがこれまで使ってきたアッシュをバンし、ファーストピックでジンを抑えてArfoadにはイレリアをあてがう。少数戦の得意なエリスをジャングルに送り込み、積極的に戦いを引き起こしていく狙いだ。ODは先ほど猛威をふるったトランドルとブラッドミアをバンし、仕掛けの得意なノーチラスとそれをフォローできるシェンをピックしてBOTから動きを作ろうという考えを見せる。

かくして始まった2戦目、vivy(エリス)はブルーバフから始めたあとラプター、レッドバフと処理し、まっすぐ敵ジャングルに忍び込む。overthere(ニダリー)がその強みを活かしてカウンタージャングルを仕掛ける前に、先手を打って動きを封じる働きだ。体力が低い状態でウルフを狩っていたoverthereは虚をつかれ、森から追い出されてしまう形に。それならばと敵のTOPサイドに忍び込むoverthereだったが、vivyはそれを予測しリコールしてまっすぐにTOPサイドへ。迂闊に森に入れば蜘蛛の糸で絡めとろうという気迫を見せ、自陣に巣をかけた状態だ。

ODはそれに対してドラゴンを奪うことで返礼し、alleycat(カルマ)にギャンクを仕掛けてファーストブラッドも獲得。臨機応変にとれるものをとっていく。しかしこの段階でDay1(ジン)とKazu(スレッシュ)のコンビに大きくCS差を広げられ、ピックの狙い通りBOTからことを起こすのに不安が残る状況となってしまった。

とはいえ自分たちの強みを活かさないわけにもいかない。11分にDorothy(ノーチラス)のフックから戦闘を仕掛け、BOTの不利を覆そうと狙う。そこにすぐさま対応するのがSZだ。テレポートしてきたArfoad(イレリア)とその補助をするalleycatの働きによって2キル奪われたものの逆に3キルを取り返し、相手の仕掛けを利用して有利をつくる。1試合目でも見た展開だ。この時点でADC間のCS差が60近くあり、ODのBOTコンビはかなりのゴールド差をつけられてしまう形に。

ファーストドラゴンを獲得していたODは多少強引にでもドラゴンを狙い、その点での有利は手放すまいとするが、ここで裏から展開されるのがDay1の「フィナーレ」だ。さらにvivyが上から、Kazuが下から挟みこむようにドラゴンに迫り、overthereはなんとかドラゴンを確保して逃走するもののNeat(シヴィア)とDorothyが倒されてしまう結果に。裏で時間稼ぎをしていたClaire(エコー)も最後には倒され、3キルに加えてBOTのファーストタワーを奪われてしまう。ドラゴンと引き換えにするにはあまりにも手痛い。

一度有利を掴めば、そこからドミノ倒しのように試合を展開するのがSZだ。オブジェクトをエサにODを釣り上げ、戦う準備の整っていない彼らを戦闘に引きずり込むことでぐいぐいと有利を広げていく。

そしてODの失策が25分。バロンの視界をコントロールしにくるだろうという予想でoverthereとDorothyが敵陣のブルーバフ裏に潜んだものの、SZは警戒してグループアップしていた。2人の発見からすぐさま包み込むように集団戦を展開し、逃げ足の早いoverthereから真っ先に倒す。遅れて裏にテレポートしてきたClaireとMisty(シェン)は味方と分断され、善戦するもののMistyだけが生き延びる結果に。順番に敵を倒したSZはMIDのインヒビタータワーまで破壊する。

ゴールドを稼いで装備で有利にたったSZは、バロンやインヒビターを狙いつつ集団戦を展開できれば勝利は確実。容赦なくジャングルへ侵攻し、ゲリラ戦を仕掛けてはキルを獲得してオブジェクトを奪う。ODは30分ごろにバロンを開始したSZからなんとかスティールを成功させるものの、その後の戦闘で総崩れになりTOPとMIDのインヒビターを破壊されて絶体絶命の状況に。BOTを押し上げられて成す術無く、ブルーサイドの連勝記録がさらに伸びたのだった。

3戦目

あっという間にSZが勝利へ王手をかけ、ODは後がなくなった。ここでODはどんなピックを見せるのか期待が高まるが、どうやら彼らには退くという選択肢はないようだ。ここにきてニダリーとルブランという強気のピック。overthereとClaireのスノーボールを狙い、血路を拓こうという思惑が見て取れる。対するSZはエリスとアッシュを選び、ピックアップを狙っていく構成だ。さらに機動力のないアッシュを守れるタム・ケンチをサポートに置き、敵のバーストダメージに警戒を見せる。

果たしてここで運命は決するのか、分水嶺の3戦目が幕を開ける。

2戦目と同じジャングルのマッチアップだが、vivy(エリス)はスタンダードなジャングルの回り方を見せる。先ほど十分にプレッシャーをかけたこともあって、迂闊には入ってこないだろうという読みだ。overthere(ニダリー)も危険を犯すことはせず、静かに試合は滑り出した、かに見えた。

いきなり波瀾が巻き起こるのは、vivyがMIDにギャンクを仕掛けた直後のことだ。Claire(ルブラン)の体力を削って用は果たしたといわんばかりに下がろうとしたvivyに、overthereの槍が突き刺さる。慌てて茂みへ逃げ込むvivy。しかし仕掛けるような動きを見せたoverthereに対して視界のない茂みからスキルを放って反撃し、彼の体力も削ったことで追撃を試みるSZ。Claireはその一瞬の強欲を許さない。

機動力の高いoverthereが囮になった隙に、背後からフラッシュイン。そしてブリンクとイグナイトをvivyに突き刺す。成す術無くひっくり返った蜘蛛に一瞥をくれて、今度はalleycat(エコー)にチェインを繋ぐ。その魔の手から逃げようとするも、直前の攻防でフラッシュを使った彼には逃げる術がない。スネアが決まったalleycat目がけて飛んでいくoverthereの槍は、過たず狙いを貫く。キルを持ってはいけない2人にいきなりキルが入ってしまったのは、試合開始5分のことだった。

SZはこれに肝を冷やし、この2人を動かさないようマップをコントロールし始める。特にTOPのMisty(シェン)を絡めての戦いを起こさせるわけにはいかない。その思いから、vivyはTOPサイドを執拗に狙いoverthereをそちらに引きつける。

プレッシャーをかけてTOPを有利にしつつ試合時間を引き延ばし、TOPのファーストタワーを獲得。さらに一瞬の隙をついてTOPでMistyをキルすることにも成功したSZはグローバルゴールドで優位に立つ。さらにClaireがTOPに行けばBOTで戦闘を起こし、彼が動くことによってODが得る成果以上のものを反対側で挙げることでその動きを帳消しにしていく。

さらに先手をとってグループしマップコントロールを行っていくことで、ODに試合のテンポを握らせない。さしものClaireと言えど単騎で複数にかなうはずもなく、SZがいかに試合の作り方を磨いてきたのかわかる展開だ。

しかし終盤を迎えるあたりから試合の雲行きが怪しくなり始める。これまで圧倒していたSZだったが、その油断をついてODが集団戦に勝利し始めるのだ。その功績はDorothy(ブラウム)の働きによるものが大きいだろう。自分がKazu(タム・ケンチ)に食べられ敵のど真ん中に放り込まれれば、逆にDay1(アッシュ)を狙ってアルティメットを発動して集団戦勝利への足掛かりをつくり、バロンを狙う時間になれば先に視界をコントロールして迂闊に動いた敵を捕らえるチャンスをつくる。序盤SZに行われた「先にグループして数的有利をつくったうえで戦闘を仕掛ける」という戦略を、逆にやり返す形だ。

徐々に試合が混迷の様相を呈してきた35分、ついに雌雄を決する戦いが起きる。ゴールド差を縮め先にバロン前を陣取ったODがバロンを始め、そこに詰め寄る形でSZが勝負をしかけた。初めて起こる純粋な5対5での戦いだ。

ここで大きすぎたのが、Arfoad(ガングプランク)による「一斉砲撃」の場所だ。ODはサイドにいたDay1に詰め寄りたいところだっただろうが、背後に砲弾を降らされ、前からは前衛を張るvivyが出てくる状況に追い込まれた。となれば、砲撃エリアを避けてその向こうに逃げる脆いキャリーと、砲撃エリアの手前で敵を食い止めるタンクの距離が離れてしまうのは避けようがない。

火力を集中できない状況でサイドからDay1の脅威にさらされ、ODは仕方なく下がり気味に集団戦を展開する。しかしそこに容赦なく突っ込むSZ。強力な範囲攻撃を持たないODに対してSZは一丸となってその角を突き立て、手前から順番に怒涛の勢いで敵を蹴散らす。

エース獲得はSZ、そしてこの時間のエースが意味するのは逃れえない一つの結末だった。
 

ブルーサイド連勝記録、止まらず

蓋を開けてみればストレート勝ち、SZが無事LJL残留を決める結果となった。

シーズンの始まり、彼らの武器はスワップだけだった。それが少しずつ武器を増やし、週を追うごとに新たな展開を見せ、気が付けばパッチの変更でスワップが行われなくなっても戦い続けることができるだけの力を蓄えていた。プロシーンでの戦いは、それだけ彼らに多くのものをもたらしたということだろう。


そして気がかりなのが、ブルーサイドの連勝記録が止まらなかったことだ。今後メタの発展においてスワップの復活や新たなチャンピオンの台頭などが予想されるが、いまだその先は未知数だ。しかしこれだけの連勝記録を前にして、その問題について選手たちが頭を悩ませていないわけはないだろう。彼らがこの現状についてなにを思い、今後試合がどう変化していくのか、来シーズンで答えが観られることを期待したい。