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10秒の運命戦

2016/08/12, 23:50 - BY RIOT GAMES

LJL

10秒の運命戦

Rascal Jesterの受難

RJは長らくLJLを戦い、「名門」と呼ばれたチームだ。しかし彼らはLJL2016 Spling Spritで下位に甘んじ、入れ替え戦でSZに敗北してChallenger Seriesに降格することとなった。長い歴史と多くのファンを持つチームだけにその反響は大きく、彼らの今後に注目が集まった。一時は解散という噂も流れたが、RJはChallenger Seriesに出場する道を選んだ。彼らの選択からは、「戦い抜いてもう一度LJLに、そしてその先に」という思いが伝わってくる。

チームメンバーを大きく変更し、破竹の勢いで二部リーグを勝ち上がったRJ。入れ替え戦で立ちふさがったのは、前シーズンで幾度となく戦ったBEだ。とはいえ、メンバー変更やプロシーンでの戦いの経験によってどちらのチームも以前とは様変わりしている。特にRJは超アグレッシブなNapとWyverNによってまったく違う色のチームになった。どちらのチームも相手の手の内を探りながら試合を展開する。その行方はまさしくシーソーゲームになった。

1戦目はNapのトランドルとWyverNのキンドレッドが暴れまわり、BEを圧倒してRJが勝利した。その暴れように「彼らはいったいどこに潜んでいたんでしょう」と実況も舌を巻くほどだ。しかしもちろんBEも黙ってはいない。Carilruiがお得意のニダリーをピックし、カウンタージャングルを仕掛けてWyverNを抑え込むことでRJがスノーボールすることを防ぐ。さらにMuekiのマルザハールが集団戦でNapを固め、抵抗するRJをBEが押しつぶした。

3戦目ではマルザハールとニダリーをバンし、真っ先にジンをピックしたRJ。このピックが効いた。序盤有利を奪われたものの、ジンを使うYukiは射程の長いスキルを的確に用い幾度となくチームの窮地を救う。戦えば戦うほどに彼のスキルショット精度は増し、終盤で次々に敵を捉える姿はまさしくスナイパーだ。ジンの活躍によって2本先取しLJL復帰に王手をかけたRJだが、4戦目はBEがローテーションで先手をとって粘りの勝利を見せる。RJが個人技で勝負を動かすなら、BEはそれをチームワークで抑え込む。戦いは5戦目にまでもつれ込んだ。
 

たったの10秒

大会で5試合連続して戦えば、体力、精神力ともに大きく削られることになる。いかにプロと言えども人間である限り、緊張と無縁ではいられないだろう。特にRJに新たに加わったメンバーは昇格戦の緊張に加えて慣れない長丁場で疲弊し、最終戦でミスを連発していた。

オラフをピックしたNapはいつものようにスノーボールできず、HW4NGはルルを使って味方の支援を行おうとするもタイミングを合わせきれずに犠牲を出してしまう。タワーやヘラルドを狙うRJだがこれまでの戦いで手の内を理解したBEはそれを潰し、シェンやタム・ケンチによるフォローを盾にアッシュのアルティメットからゲームを展開していく。

アグレッシブさが持ち味のRJはそれでも先手をとって仕掛けることで有利を作ろうとするが、BEの対応が完全に上回り一方的にオブジェクトを奪われる。中盤からはみるみるキル差が広がり、攻めることすら困難な状況に追い込まれた。

そして31分……BEはバロンを狙って着々と準備を進める。そして視界を確保して自陣に撤退しようとしたNoAの背にSwizzleの放ったクリスタルアローが突き刺さり、あっという間に1キル獲得。RJから守備の要のブラウムを奪い取り、バロンへラッシュする。ここまでの有利な展開、そしてバロン。BEの勝利はもはや確実だった。

しかしたった10秒。30分間かけてBEが築いてきた状況を、たった10秒の攻防が覆した。

そのきっかけを作ったのはWyverN(レク=サイ)だ。WyverNはバロンピットの裏からフラッシュインすると同時に地中から飛び出し、一瞬Carilrui(グラガス)が打ちあがったスタンした隙にその鼻先からバロンを奪い去った。不意をつかれたYoshiakiはCarilruiを救うために口の中にしまい込むが、ここで初めてキャリーを救う役目を果たせない位置に追い込まれる。

無防備になったMuekiとSwizzleへ、ラグナロクを発動したNapが突進する。斧を振り回してキャリーをズタズタに引き裂き、BEはやむなく撤退。

HW4NGとYukiが健在のRJは、とったばかりのバロンバフを活かしてMidをファーストタワーから順にインヒビターまでぶち抜き、ど真ん中に風穴をあける。それはネクサスまで続く一直線の活路だ。

そのまま返してなるものかと復活したSwizzleがクリスタルアローを放つ。追撃されればそのまま総崩れするかもしれない状況で、その報復の一矢をNapがラグナロクで受け止める。文字通り矢面に立ったNapの活躍によって無事にホームに戻るRJ。

泡を食ったBEはドラゴンだけでも確保しようと走るが、HW4NGとNoAのアルティメットが前衛の動きを止めYukiがフィナーレの弾幕でCarilruiを仕留めた。そしてまたしてもラグナロクでキャリーに突進するNapによって、陣形の崩れたBE。そこにRJが畳みかけ、一人、また一人と渾身の力でキルをもぎ取る。

気が付けばサモナーズリフトに響き渡る「エース」のアナウンス。

RJが勝ち名乗りを挙げたのは、たった10秒のバロンの攻防から4分後のことだった。
 

歩みは続く

惜しくも本戦から滑落してしまったRascal Jester。この事実が彼らに与えた衝撃は計り知れない。しかし敗北は弱さの証明ではない。困難にぶつかり、乗り越えることによって得た力は、ちょっとやそっとでは揺るがない強固なものとなる。彼らが歩みを止めず、この日の敗北が持つ意味を変えてくれることを信じている。

これは前回のPromotion Series記事の末尾でRJにおくられた言葉だ。Spring Splitで苦しい戦いを続け、最後には本戦から滑落したRJ。そこからメンバーを大きく変更し、本戦に戻るために練習を続け、ついに勝利をつかみLJLに返り咲いた。前回と同じく5戦目にまでもつれ込んだ戦いに勝てたことは、大きな自信となるだろう。

しかし今回の勝利は順風満帆なものではなかった。個々人の技量は非常に高いチームだが、戦略やチームワークの面ではまだまだ多くの課題が残されている。そしてなんといっても、5試合連続で戦い抜ける体力を養うことは必須だ。勝利の喜びを得つつも、苦い学びが数多くあったことは間違いない。次のLJLに向けて彼らはチームをどう変えていくのだろうか。

敗北には勝利以上の意味がある。そんな言葉は綺麗事で、本気で試合を戦う選手たちにとって勝利以上の望みはないはずだ。しかし彼らはこの試合で、あの日の敗北の意味を変えてくれた。単なる敗北は、次の勝利につながる歴史の一つになった。そして彼らの歩みはこれからも続く。その道の果てがどこに続くのか、まだ誰も知らない。