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Final : グランドフィナーレ、そして世界へ

2019/04/18, 19:00 - BY RIOT GAMES

LJL

Final : グランドフィナーレ、そして世界へ

1月から始まったLJL 2019 Spring Splitは、去る2019年4月13日、ついにグランドフィナーレを迎えた。Finalの舞台で戦ったのは、DetonatioN FocusMe(以下DFM)とUnsold Stuff Gaming(以下USG)だ。

これは前期、LJL 2018 Summer SplitのFinalと同じカードで、前回はDFMが3-1でUSGを下して優勝を決めた。今回のFinalは、DFMにとっては連覇のかかった試合、USGにとってはリベンジマッチという、それぞれの思いがぶつかり合うFinalと言えるだろう。

思えばこの2チームにも、今期は大きな変化が訪れた。DFMには新しくGaeng選手とRamune選手が加入し、Botレーンから作っていく試合が増えた。USGは新しく加入したDasher選手を中心に試合を組み立てることが多かった。レギュラーシーズン中の対戦成績では、DFMが3-0で勝ち越しているが、USGがDFMを惜しいところまで追い詰めた試合もあった。

圧倒的な強さでレギュラーシーズンを終えた“王者”、DFMがこのまま優勝するのか。それともSemi FinalでCrest Gaming Act(以下CGA)を3-0で打ち破り、好調の流れのままFinalに臨む“挑戦者”、USGが優勝するのか。

王者と挑戦者、そのFinalの試合を振り返っていこう。

 

Game1 : 王者 vs 挑戦者

Game1のドラフトでは、最初のバンフェーズがほぼすべてターゲットバン(相手のプレイヤーの得意なチャンピオンをバンすること)で使われたことが印象的だ。

DFMはDasher選手をターゲットしてライズとコーキをバンして、USGはCeros選手のハイマーディンガーとSteal選手のノクターン、Gaeng選手のスレッシュを警戒してバンを使っていく。このバンフェーズにおいてタリックだけが唯一、現在ソナ-タリックという組み合わせでBotレーンで使われているチャンピオンであり、USGの得意チャンピオンというわけではない。

これは試合前のコーチへのインタビューでも示唆されていたもので、実況のEyesさんが両チームのコーチに「本日の試合はプレイヤーですか? それともドラフトが大事ですか?」とインタビューした際、両コーチはどちらも「プレイヤーが大事」だと答えたそうだ。ターゲットバンは戦略を封じるというより、それぞれのレーンで有利を取っていくためのものであり、そのチャンピオンを使わせなければ勝てるという、プレイヤー重視の選択といえる。

そしてこのドラフトでは、DFMは用意していたチャンピオンをピック。それに対して、USGはその相手と戦えるようなチャンピオンを選んだように見えた。

DFMはEvi選手が得意のサイラスを最初にピックし、Yutapon選手が最近流行し始めたミスフォーチュンをピックして、自分たちのやりたい構成を選んでいる。それに対してUSGはサイラスと1対1で勝つためのヨリックをピックし、ミスフォーチュンに対して勝つためにアッシュをピックし、アッシュのカウンターであるサポートのタム・ケンチを取らせたうえで、タム・ケンチのカウンターであるソラカをピックするなど、敵のチャンピオンに対して勝つためのドラフトを行っていた。

 

好機を逃さず、集団戦を仕掛ける

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試合は15分という中盤まで特にキルが起きることもなく、DFMが若干の有利を掴んだまま進んでいく。そして、その中盤、リフトヘラルド前で最初の集団戦が起きた。

Tussle選手とapaMen選手が、リフトヘラルドへの攻撃を開始したと同時に、DFMは戦闘の準備を始めていた。そしてヘラルドの体力が減ってきたところで、Evi選手が仕掛けに入る。

この集団戦はUSGがかなり不利な状況から始まっていた。先の戦闘で、apaMen選手、Tussle選手、Dasher選手がフラッシュを落としてしまっていたからだ。DFMもフラッシュを使っているので一見イーブンに見えるが、DFMにはリサンドラという対象指定の強力な行動阻害を持つチャンピオンがいる。フラッシュがない状態では、リサンドラから逃げる手段がないため、USGの方がより不利であると言える。

ここでフラッシュがなく、ダメージを回避する手段がないapaMen選手のヨリックはすべての攻撃を受け、早々に倒されてしまう。この状態で3対2の構図になり、DFMが有利な状況になったが、ここにKeymaker選手がテレポートでBotレーンから参戦する。しかし、それ以上に早いタイミングで“寄り”を始めていたのがDFMのYutapon選手とGaeng選手だ。Botレーンに圧力をかけながら、戦いが始まる前に寄りを開始し、タム・ケンチのR「船旅」を使って集団戦に参加する。これにより、DFMは5人の寄りを見せて集団戦に勝利し、ヘラルドと4キルを獲得した。

DFMは、USGが先の戦闘でフラッシュを落としているなかでヘラルドを倒そうとしているという好機を逃さず、集団戦に勝てるタイミングで勝負を仕掛けていった。注目すべきは、Ceros選手の判断とDFMの連携力だ。集団戦が始まる前にDasher選手のアジールを捕まえられる距離にいたのにも関わらず、あえてプレッシャーだけをかけてアジールの移動スキルを使わせ、apaMen選手のヨリックに対してすべてのスキルを使って倒しきった点だ。アジールはクレンズを持っていたので捕まえても倒しきれないという判断のもとで、おそらくDFM全体でまだタンクアイテムがなく移動スキルのないヨリックから倒すという呼びかけを行っていたのだろう。DFMの集団戦の上手さというのを感じさせる連携で、有利を掴んだDFMは、この流れのまま試合に勝利した。

 

Game2 : 勝敗を分ける連携

Game2のドラフトでは、DFMがケイルをファーストピックしていく。ケイルはレベルが上がるほどに通常攻撃が強化され、レベル16でパワースパイクを迎えるという性質をもったチャンピオンだが、代償として序盤はかなり弱いため、その時間帯をDFMがどのように乗り越えていくかが課題になる。

一方のUSGは、単体を倒す能力に長けているリサンドラとリーシンというコンビで、MidレーンとJungleから試合を作っていくような構成だ。また、ケネンという広範囲への攻撃と行動阻害を兼ね備えたチャンピオンを選択したことにより、集団戦でも強力な構成になっているので、終盤になってもチャンスさえ掴めば勝てる余地がある。序盤をDFMが耐えきるか、あるいはUSGが序盤から試合を作って、集団戦をうまく勝ち切るか。どちらにせよ、注目すべきは序盤になりそうだ。

 

コミュニケーションエラー?

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試合が動いたのは6分のところで、USGがTopレーンへのタワーダイブを行った。試合を動かそうとするUSGと、耐えればいいDFM。その時間との戦いがUSGに焦りを生み出し、致命的なコミュニケーションエラーを生み出してしまった。

この時点でEvi選手のケイルはまだレベル5で、Rスキル「聖なる審判」を持っていない状態だった。そしてダイブする側のapaMen選手とDasher選手は、どちらもレベル6で、Rスキルを手に入れている。タイミングさえ合わせれば、間違いなくEvi選手を倒すことができた状況だ。

しかし、いざDasher選手がタワーダイブをするというタイミングで、apaMen選手はケイルのダメージに驚き、少し下がってしまった。しかも、apaMen選手はここでケネンのE「疾風迅雷」も使ってしまっており、攻撃速度増加や衝突で与えられるダメージというものをまったく活かせなかった。

そして、ここでDasher選手はタワーダイブで倒せると判断し、apaMen選手は倒せないと判断したのだろう。それがあってか、Dasher選手がタワーダイブしたタイミングでapaMen選手は即座に合わせられず、ダメージが足りず、Evi選手が生き残ってしまった。USGはこのコミュニケーションエラーひとつで、序盤が苦しいケイルに1キルを献上してしまい、さらにはTopに2人を送ったことで、このスキにDFMはインファーナルドレイクを獲得していく。

 

不利な集団戦でも完璧に勝っていく、DFMのアグロピンポン

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この後、大きく試合が動いたのは21分ごろだ。DFMが視界のないブッシュ内をチェックしようとしたところで、USGが仕掛けていく。Evi選手、Steal選手、Gaeng選手を捕まえて、範囲ダメージで大きなダメージを与えたUSGは、一見有利に見えた。しかし、Evi選手のケイルがRスキル「聖なる審判」をSteal選手に使って無敵にし、自身はSteal選手のキンドレッドのRスキル「羊の執行猶予」で倒されずに生き残っていく。そして、羊の執行猶予が切れる寸前で、Gaeng選手のタム・ケンチがW「丸呑み」でEvi選手を絶体絶命の状態から救出していく。

なにかひとつでも連携のミスがあれば、Steal選手やEvi選手が倒されてしまい、この集団戦で勝ち切ることはなかっただろう。たとえば、Evi選手が自分自身に聖なる審判を使っていれば、範囲外にノックバックされたSteal選手は倒されていたはずだ。また、ほかのチャンピオンも危険な状況であったにも関わらず、羊の執行猶予が切れるタイミングまでGaeng選手は丸呑みを温存して、完璧なタイミングでEvi選手を救い出した。

このDFMのアグロピンポン(無敵や対象指定不可の状態を利用して、敵の狙いを分散させ、ダメージを分散させること)の動きによって、USGは誰も倒しきれず、何度も狙いを変える必要があった。そしてこの集団戦でDFMは5キルとバロンナッシャーを獲得。圧倒的な集団戦の技術と連携を見せて、25分という早さで2試合目を勝利した。

 

Game3 : USGの変化

3試合目、バンはあまり変わらないもののUSGのピックは大きく変わってきた。まず、Dasher選手が物理ダメージが主体であるイレリアをピックし、Keymaker選手が魔法ダメージが主体のスウェインをピックしているという点だ。ここでKeymaker選手がスウェインをピックした理由は、ウェーブクリアと耐久力を備えているからであり、レーンでひとりになってもある程度耐えられるからだ。

ここまでUSGはBotレーンで2対2をする構成を続けてきて、あまり有利を築けなかった。解説のRevolさんが「DFMのBotレーンはLJLで最強」と言うほどなので、そこで正面から戦って有利を築けないのは仕方がない。ならば、正面から戦わず、Enty選手をローム(ほかのレーンにアシストに行くこと)させることで、Botレーン以外で有利を作っていこうというわけだ。

構成を見るとどちらのチームも、キャッチ(単体ダメージや単体への行動阻害で、ひとりの敵を倒す戦略)と集団戦が得意な構成になっている。この試合では、ドラフトのところで大きな差はなく、両チームの細かな戦略が勝敗を分けることになる。

そして試合は、Enty選手のパイクが序盤から積極的に動き、BotレーンとJungle、そしてMidレーンにプレッシャーをかけながら有利を掴んでいく。

 

人数差を作り出すEnty選手の足止め

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大きな集団戦が起きたのは10分前後のリフトヘラルド前での戦闘だ。USGは、Game1で同じような状況でヘラルドを開始して失敗しているが、今回は違った。DFMのサポートがタム・ケンチではなく、寄りに時間がかかったこと、そしてEnty選手のパイクがモビリティブーツを購入しており、移動速度が非常に速かったことだ。

Tussle選手がワードを置くと同時にKeymaker選手がテレポートを詠唱し、USGは4対3の構図を作り出した。そして、DFMのBotレーナーたちが寄ろうとしているところを、Enty選手のパイクが足止めをして時間を稼いでいた。

そして、DFMのBotレーナーが到着したころには、もうEvi選手とSteal選手の体力が低く、2対5の構図になってしまう。Yutapon選手が最大限のダメージを出すものの、Dasher選手のイレリアを止められず、USGはこのFinalで初めてファーストタワーの獲得に成功した。

 

逆転に次ぐ逆転、Finalにふさわしい名勝負

序盤こそゲームをコントロールしていたUSGだったが、25分前後の戦闘でDFMが3キルを獲得し集団戦に勝利。そのままバロンも獲得し、バロンバフを活かしてゴールド差を逆転させる。

しかし、そのままゲームエンドを狙ったDFMに対して、USGは素晴らしい防衛を見せ5-0のエースを獲得。さらには集団戦でDasher選手とKeymaker選手が倒されてしまう不利な状況から、apaMen選手のナーのRスキル「ナー!」が4人に刺さり、集団戦に勝利しバロンを獲得。一度は逆転されて失った流れを取り戻し、USGが圧倒的な有利を掴んで試合は終盤に突入する。

そしてUSGは敵の拠点付近でCeros選手のリサンドラを倒し、このまま試合を終わらせるかと思われた。だが、DFMはこの人数差がある状況でEvi選手が仕掛けていく。そしてEvi選手のブラッドミアが獅子奮迅の活躍を見せて、この4対5の状況で勝利した。ただし、その集団戦で勝利してもなお、ゴールドのアドバンテージはUSGが握っていた。

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そして、最後の集団戦が始まる。ゴールドは6000ゴールドほどUSGが有利を握っている状況。そして、もっとも脅威だったEvi選手のブラッドミアを早々に倒し、あとはYutapon選手のミスフォーチュンに届けば、USGは1勝を手に入れる――そのはずだった。Evi選手をフルフォーカスしたことにより、一か所に固まってしまったUSGに対して、Ceros選手が入り込んで行動阻害をばら撒いていく。そこにYutapon選手のミスフォーチュンのRスキル「バレットタイム」が入った。

あと一歩。もし、41分前後の拠点付近の戦闘で勝利していれば。もし、最後の集団戦のバレットタイムを誰かが行動阻害で止めていたら。もし、Dasher選手が一度後ろに下がっていなければ。もし、最後のシーンでapaMen選手がバックドアを狙っていたら。

驚異的な粘りを見せ、USGのあと一歩を許さず、LJL 2019 Spring Split Finalを制したのは“王者”DFMとなった。

 

次の戦いは世界へ。2019 Mid Season Invititationalは5月1日から

1月から始まったLJL 2019 Spring Splitもついに閉幕し、次のDFMの戦いは5月1日からベトナムとチャイニーズタイペイで開催される、2019 Mid Season Invitational(以下MSI 2019)だ。MSIは、世界の13地域の優勝チームが集まり、優勝カップを争う、World Championshipに次ぐ規模の世界大会になっている。

去年の2018 World Championshipでは、DFMが日本のチームとして初めてプレイインノックアウトに進出するなどの快挙を成し遂げているため、今回もDFMの快挙を期待していきたいところだ。

MSI 2019の詳細はこちらから確認することができる。DFMを含む以下の10チームはプレイインステージから戦い、プレイインステージを勝ち抜いたチームがグループステージに進出する。

 

  • CBLOL代表    INTZ - ブラジル(BR)
  • LCL代表    Vega Squadron - ロシアを含む独立国家共同体(CIS)
  • LJL代表    DetonatioN FocusMe - 日本(JPN)
  • LLA代表     未定(現地時間4月20日に決定) - ラテンアメリカ(LATAM)
  • LCS代表    Team Liquid - 北アメリカ(NA) - プレイインファーストラウンドは免除、プレイインノックアウトステージより参加
  • OPL代表    Bombers - オセアニア (OCE)
  • LST代表    未定(現地時間4月20日に決定) - 東南アジア(SEA)
  • TCL代表    1907 Fenerbahçe Espor - トルコ(TUR)
  • LMS代表    未定(現地時間4月20日に決定)  - 台湾、香港、マカオ(LMS) - プレイインファーストラウンドは免除、プレイインノックアウトステージより参加
  • VCS代表    Phong Vũ Buffalo - ベトナム(VN)

 

また、グループステージは5月10日から行われ、プレイインステージを勝ち抜いた3チームと、昨年のMSIとWorldsを制覇したLPL(中国)、準優勝したLEC(ヨーロッパ)、そしてWorlds最多優勝のLCK(韓国)を交えた戦いになる。プレイインステージと組み合わせ抽選についての詳細はこちらのページで確認できる。

LJL 2019 Spring Splitが終わっても、彼らの戦いは続く。もう間もなく始まるMSI、DFMの活躍に注目だ。

 

 

 

ライター:つきひ