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8つの視点から見るWorlds 2018

2018/11/02, 16:00 - BY RIOT GAMES

WORLDS

8つの視点から見るWorlds 2018

1. 何度も、何度でも

ここに、リーグ・オブ・レジェンドのWorld Championshipに関する真実をいくつか書いてみる。

1つ目。最初のWorldsは2011年、スウェーデンで開催されたDreamHack内で行われた。会場は(巷で噂されている)Phreakの家の地下室ではなく、エンチェピングにあるElmia Exhibition & Convention Centreだった。「Worlds」というのも妙な表現で、大会には4地域しか参加していなかったし、そのうち今も同じ形を維持している地域は2つしか存在しない。当時のシーンにはWorldsよりも大規模な大会があったので、「Championship」と呼ぶのが変だという話もある。しかしその大会はライアットゲームズ主催の大会であり、いずれにせよ私たちは「Worlds」と呼ぶ。

2つ目。Worlds 2011に出場した選手のうち、今でも現役のプロプレイヤーは2人しかいない。その2人はどちらも今年のWorldsにも出場している。ひとりはsOAZ、もうひとりはDoubleliftだ。

3つ目。ライアットがWorld Championshipを開催するようになり8年が経つが、北アメリカのチームは未だ世界王者の称号を得たことがない。

4つ目。つまり、Doubleliftがプロとしてプレイしていたこの8年間、彼は一度もWorldsで優勝していない。

WorldsでNA LCSチームを応援するファンにとって、応援し続けるということはキューブラー=ロスモデルにおける『死の受容のプロセス』を逆順に進んでいくようなものだ。最初に「受容」が訪れ、優勝は無理だと受け入れる。最後は「否認」。応援しているチームの成績を受け入れようとしない。しかもこの感情の遷移は、電車が始発から終点へ向かって1つずつ駅を通過していくように変化していくのではなく、環状線のように毎年同じ始まりから同じ終わりへと回り続ける。2016年、私たちはTSMがグループを突破するのでは考えたが、結局は敗退という現実を突きつけられた。しかし今年、ルーキーだらけのCloud9にグループ突破は無理だと誰もが考えたが、その予想は大きく、圧倒的に間違っていた。

あるいはTeam Liquid(TL)が突破するのではないかと考えた人もいただろう。我々自身、運命というものをよく知っているはずなのにもかかわらず、だ。

グループステージ中のTLは怯えたようにプレイしていた。まるで息を止めたままプレイしているようだった。最終リハーサルをこなしながら、誰かから「Worldsの本番始まったよ」と声をかけられるのを待っているようだった。そしてその声がかかったのは、敗退が決まった瞬間だった。KT RolsterがEdward Gamingに負け、TLのQuarterfinal(準々決勝)進出の可能性が潰えたあの時だ。あの時彼らは解き放たれた。そしてついにEDGを破ってみせた。

ファンであるということは、何度でも信じる心を蘇生させるということだ。私はTLの最後の試合に希望を見た。NA LCSファンならばおなじみの希望だ。「これが本来の姿なんだ、もう一度チャンスさえあれば必ずやれるんだ」と。EDGのネクサスが爆発する瞬間、Doubleliftの顔には苦笑いが浮かんでいた。「俺らも強い。他のチームと同じくらい、いやそれ以上に」。ヘッドセットを外す彼の姿を見て、あなたの耳にはそう聞こえたはずだ。Doubleliftはその後立ち上がるとOllehに抱きついた。悲しそうに、ゆっくりと。「もう一度、俺らを信じてほしい。あともう1ゲームだけ」。残りのチームメンバーがDoubleliftの周囲に集まる。彼は両腕をチームメイトたちに回し、彼らはほんの一瞬のあいだ頭を下げた。

 

 

2. 人生で最も美しい瞬間

2012年に突如現れたTaipei Assassinsは地元Garena地域で嵐のように暴れまわり、圧勝を重ねてWorldsの舞台へ上がってきた。そして100年に一度の嵐よろしく、その後二度と戻ってこなかった。以来彼らが同様のパフォーマンスを見せたことはない。2013年にはWorlds出場すら逃している。しかしあの時、彼らは世界最高のチームだった。

過去を振り返る時、人は一瞬だけ輝いて消えていくものを軽視しがちだ。TPAはそれほど強いチームじゃなかった、たまたまメタが合っていただけだった、数カ月後のIEMでMoscow 5に惨敗したのがその証拠だ、と。昨年のMisfitsについても同様だろう。確かにSK Telecomをゲーム5まで追い詰めたけれど、当時のSKTは過去と比べれば酷い状態だった、だから何の意味もないことだ、と。

いずれの指摘も真実なのだろう。しかし真実はもう一つある。あの瞬間、私たちが感じていた気持ちだ。2012年にTPAがロサンゼルスから凱旋帰国した後、地元の新聞やTVに出ずっぱりだった時に人々がどう感じたのかについては想像しかできない。しかし昨年MSFがSKTと戦った時の気持ちならば自分の言葉で表現できる。私はハネムーン旅行の真っ最中で香港にいた。ホテルの部屋はベッドを入れるのが精一杯というような狭さで、バスルームの窓からは蘭桂坊(ランカイフォン)が見えた。騒がしいバーやクラブが所狭しと立ち並ぶ、中環(セントラル)屈指のナイトスポットだ。しかしあの日の午後、私の頭の中にあったのは、ここから電車で数時間行った広州でビデオゲームをプレイしている10人の若い男たちのことだけだった。MSFはこの困難を乗り越えられるのか?私の頭の中はそれで一杯だった。

あの時の感覚は二度と戻ってこないだろう。そう思っていた時、今年のWorldsグループステージ初日でVitalityはGen.Gと対戦した。

今年のWorldsは「優勝候補外」チームが主役の大会であり、優勝候補ほど危ない。そんな事は今ならば誰もが分かっている。超強豪のLCKチームは次々と敗退していったし、Gen.Gはその中で最初に敗退したというだけだ。しかしVITがはじめてGen.Gとぶつかった時、あのGen.Gが1-5の成績で敗退するなんて、Semifinal(準決勝)にLCKチームがひとつも上がってこないなんて、誰も思っていなかったはずだ。これを書いている今から2時間前、G2はAfreeca Freecsを撃破したが、G2はヨーロッパの元王者だ。あの勝利はまぐれだったのかもしれない。でも一体誰が、去年の今頃はLCS昇格戦を戦っていたプレイヤー3人を擁するVITが、昨年の世界王者に勝つと予想できただろうか?

もちろんVITは新たなTPAにはなれなかった。昨年のMSFのようにQuarterfinalまで勝ち進むこともできなかった。しかし2012年に楽しそうにプレイしていたTPAを見た時や、2017年に「チャレンジャーから上がったばかり」のMSFがメタから外れたレオナをピックした時と同様、世界の注目はVITに集まっていた。Gen.G本拠地内でJiizukeのエコーがCuveeのスキルを華麗に避け続けたあの瞬間、彼はこれまでLoL eSportsシーンで不変と思われていた「時の流れを砕いて」いたのだ。捕まらない、止まらない。あの瞬間、Jizukeは世界を動かしていた。私たちはその瞬間を最前列で目撃していたのだ。

 

3. 新世界へ

自然界は真空を嫌う。そしてeSports界の物語も空白を嫌う。だからSKT不在の今年、私たちは次の強者に飛びついた。Uziだ。もっとも王者SKTが存在しない平行世界があれば、彼はずっと世界一の大スターであり、世界王者だったかもしれない。Fakerがいない世界なら、Uziはリーグ・オブ・レジェンド史上最高の才能と名声を誇るプレイヤーになっていたかもしれない。しかし現実は異なる。万年2位の男、無冠の王、それが私たちの世界におけるUziだ。

2018年はUziの年になるはずだった。今年の彼はSpring/Summer Split連覇を達成し、MSIで優勝し、アジア競技大会でも中国を優勝に導いた。「王者LPL」の新時代を築くはずだった。もちろんLPLが世界王者になる可能性はある。しかしそれは、彼の手によってではない。RNGがグループBでVITとC9相手にゲームを落とし、予想されたほど圧勝できなかったことはこの際忘れよう。グループステージ初日、彼が「ラスボス」扱いされることのプレッシャーで緊張していると語っていたこともこの際忘れるとしよう。

なぜ私たちはこれほど次の「覇者」を求めるのだろう?これは、もう二度と生まれ得ないほどの圧倒的な強者が存在しうることを私たちに見せつけたSKTの原罪なのかもしれない。私たちは、他のチームより少し強い・上手いだけのチームに世界王者になって欲しくないと感じてしまう。「私たちの世界王者」は常に、リーグ・オブ・レジェンド界のオリンポス山から降臨した神や超人であって欲しいと願ってしまう。ではUziは、ギリシャ悲劇におけるヒュブリスの諫め(限度を超えた傲慢さは当人を破滅に導く)を受けて半神に堕ちてしまう運命だったのだろうか?あるいは3年にわたるSKTの覇権の後では、これが英雄譚を語る唯一の方法だったのだろうか?

RNGが期待通りに世界王者となっていたら…Uziを玉座に迎えた新たな覇権が築かれていたら…私は時折、悲しみと共にそう考えてしまう。しかしRNGの敗北はまた、まったく新しい世界を拓いたとも言えるだろう。RNGがG2に敗れた瞬間、私たちは神も王も、優勝候補も不在の世界へと誘われたのだから。誰が勝ってもおかしくない、何が起きてもおかしくない新世界へと。

 

4. 君がいたから

青コーナーに立つのはAfreeca Freecs。2018年、それまでのトップレーナーを韓国チャレンジャーの19歳の無名新人と置き換え、さらに4人のプレイヤー(その大半がルーキー)と契約。直後のSpring Splitでは準優勝するまでの躍進を見せ、その後Worlds出場を決めた。開幕前には、彼らが韓国最後の希望となり、そしてC9に敗北してLCK史上最悪のWorlds戦績を残すことになるとはだれも想像していなかっただろう。

赤コーナー(チームカラーはスカイブルーだが)に立つのはCloud9。2018年、それまでのトップレーナーをNAチャレンジャーシリーズから来た21歳の無名新人と置き換え、さらにアカデミーチームから4人のプレイヤーを追加。その後は10位に低迷した後に躍進を見せ、Regional Qualifier(地域最終代表決定戦)で優勝を果たした。Worldsの途中まで「C9が北アメリカ最後の希望だ」というのは誰しもが口にしていたジョークだった。しかし彼らがAFSを下して北アメリカ史上最高のWorlds成績を達成したとき、私たちはそのジョークがどれほど正しかったかを思い知ることになった。

2014年、韓国地域で姉妹チーム制が正式に廃止された。しかしその精神は北アメリカと韓国の両方で強く生き続け、そして花開いた。たとえばAFSコーチiloveoovは少なくとも2017年3月時点でInvenの取材に対し「最低でも合計10名、可能ならばさらに両チーム3~4人の控えメンバーを持つ2チームによる継続的かつ反復的な練習環境」を作りたいと語っている。一方のC9はどちらかといえばジャングルとミッドレーンに1人ずつ控えを置く7人チーム制を取っているが、Jack Etienne氏は今年の9月にもESPNのEmily Rand氏の取材に対し、プレイヤーたちは「10人で1チームだと考えている」と語り、アカデミーチームは「一旦気持ちをリセットし、強くなって戻ってくるための場所だ」と付け加え、C9に欠かせない存在だと述べている。

西洋のことわざに「一人の子供を育てるには村が一つ必要である」というものがある。これは子供が育つにはさまざまな大人・子供と関わる必要があるという意味だ。AFSもC9もステージ上でプレイするのは常に5人だ。しかし彼らは毎回、全員の希望や夢を背負って戦っているのだ。今年のLCK SummerプレイオフでAFSがKingzoneに勝利した時、コーチ3人と控え5人の全員がブースになだれ込んだ。SpiritとMowgliは抱き合い、AimingはTusiNの膝に座り込んで満足げな表情を浮かべていた。2ヶ月後のWorlds QuarterfinalでC9がAFSに勝利した時、私はその光景を思い出していた。C9の場合は13人ではなかったが、円陣を組んだ彼らの中にはGoldenglueが、そしてC9ロゴのスナップバックキャップをかぶったBlaberがいた。2人は残りの5人とともに対戦チームと握手を交わすことはできなかったが、Goldenglueは時間の許す限りSvenskerenにしがみついていた。肩を揉み、大きな笑みを浮かべながら。その姿はまるで「俺がついてる」と言っているようだった。

 

5. リプレイ

「歴史は同じようには繰り返さないが韻を踏む」とは、かのマーク・トウェインの言だ。QuarterfinalでFnaticとEdward Gamingが再び対戦すると決まった時、それは壮大な叙事詩の始まり―あるいは終わり―のように感じられた。

Kelsey Moser氏がQuarterfinal前夜に書いた通り、2015年と2018年には薄気味悪いほど多くの類似点がある。2015年、EDGはLCK代表SKTを破って史上初のMSI優勝を果たした。2018年はそれがRNG対Kingzoneだった。2015年、グループBに入ったFnaticはRookie所属のInvictus Gamingを難なく倒して、第1シードとしてグループを勝ち抜けた。2018年もFnaticは同様に勝ち抜けた。ただし今回は、IGも第2シードとして勝ち抜けている。さらに2015年、FNCはSemifinal進出をかけてEDGと激突し、3-0で圧勝している。

そいて2018年、両者は再び相まみえ、FNCが再び3-1で勝利した。

人間の脳はパターン認知の積み重ねだ。だからこそ私たちは機械に知性を見出してしまったり、2つの点の間に引かれている線に意味を見出してしまったりする。そして「対称性」は物書きが使う手品の中でも最も基本的なものであり、読者に意味を想像させて文章を読ませる効果がある。だから今私は「すべては起こるべくして起こったのだ」と書きたい気持ちに駆られる。「Quarterfinalでは常にFNCがEDGに圧勝する」。それが誰もがかつて見ている結末だから。

だがここで対称性を使ってしまうと、2015年以来リーグ・オブ・レジェンドのプロシーンが遂げてきた凄まじい変化を無視することになってしまう。もちろん2015年のリーグ・オブ・レジェンドがまだ生まれたばかりだったという者はいないだろう。Worldsは2014年に大きな花を咲かせ、続く2015年にはeSportsシーンでの地位を確固たるものへと高めているからだ。しかし2018年のLoLシーンは単に存在し続けるだけでは不十分で、「成熟」する必要があった。フランチャイズ化、第一世代プレイヤーたちの引退、プレイヤーからコーチへの転身、新スポンサーの参入、数百万ドルの投資。私たちはこのすべてをまとめ上げていく過程にあり、「新たな試み」だったものを「確固たる地盤」へと昇華させようとしているのだから。

そして対称性では捉えきれないもう一つの側面が、EDGとFNCがこの数年で遂げてきた成長だ。2015年のEDGとFNCはもはや存在しない。2015年当時、Meikoはチーム最年少プレイヤーであり、無名の控えサポートという立場から突如LPLデビューを果たしたプレイヤーだった。しかし2018年のMeikoはEDGスタメンの中でもチーム在籍歴最長を誇るスタープレイヤーであり、EDGをEDGたらしめていたAaronやClearloveといったスターに変わる若き新星EDGロースターを導く存在になっている。一方Fnaticの2015年は、AllianceやElementsをさまよった末に出戻ったRekklesがFnaticに恩を返すべく奮闘している年だった。そして(AllianceとElementsが解散して久しい)2018年、RekklesはFnatic屈指のベテランにしてチームの顔となり、Bwipoという新たな才能を花開かせるためならば自ら進んでベンチ入りするほどの成熟を見せている。

対称性とは偶然であり、呪いではない。FNCの勝利にもEDGの敗北にも筋書きなどなかった。今年のQuarterfinalの結果は純粋に、両チームがこの3年で果たしてきた変化、拭い続けてきた疑念、取り組んできた洗練化と育成、欠かさなかった努力の反映に過ぎない。EDG対FNCの一戦は、人はどれほど変われるのかを示す証拠なのだ。FNCにとっての2018年は、自分たちがどれだけ成長したかを示す機会なのだろう。そしてEDGにとっての2018年は、自らの持つ可能性の大きさと成長の余地を示すしるしなのだろう。

 

6. 輝きの消失

スポーツの世界において愛されるのは「軽々とプレイしてみせる選手」である。実況に「まったく簡単そうにやってのけますね」と言われるようなプレイヤーだ。人々の注目を集めるのはアグレッシブに攻めるジャングラー、試合をキャリーするトップレーナー、派手なプレイを魅せるミッドレーナー、1v2で追い詰められた状態から逆転のダブルキルを上げるADC、試合を動かすフックを決めるサポート…そういったプレイヤーだ。一方、巧みなドラフトや絶妙なワード配置を強みとするチームや、マルザハールばかりピックするミッドレーナーを愛するのは難しい。黙々と仕事をこなすチームを愛するのは難しいのだ。

だからこそGen.G.を愛するのは難しいのだろう。ソロキュー出身の弱小プレイヤーからなる集団、2015年には降格寸前だった彼らはその後世界王座まで駆け上がったが、2018年には地元リーグで苦戦し続けた。その道程では全員が努力の限りを尽くしてきた。しかし派手なチームが出てくると、彼らはいつも脇に追いやられた。2016年のWorldsで私たちの記憶に残っているのはROX対SKTのSemifinalであり、ゲーム5までもつれ込んだSKT対Samsung GalaxyのFinalではない。Fakerの悲痛な表情は誰もが覚えているだろう、ではAmbitionが念願のサモナーズカップを掲げている姿は?記憶の中のCrownも、2016年にステージから降りる時の悔しげな顔や、同年春にKingzone Dragon Xに負けてPCの前で泣き崩れる顔など暗い印象ばかりだ。

新顔チームVITが勝利をもぎ取るたび、Gen.Gの覇権は崩れていった。そしてグループステージ5日目、VIT対GEN.Gの試合で決定的な瞬間が訪れる。試合時間33分過ぎ、VITはミッドレーンでCrownとCuveeを捉えて落としきり、Gen.Gの残りメンバーは散り散りに撤退を開始する。「ヨーロッパ地域はずっと、“追いかけ”てきた。韓国に追いつくために」VITコーチYamatoCannonは興奮冷めやらぬ試合後のインタビューでこう語っている。この「追いかける」という比喩を具現化すると、あの試合が決まった瞬間になるのかもしれない。レッドサイドのトップ側ジャングルに逃げるAmbitionとCoreJJ。臭いを嗅ぎつけた猟犬のごとくそれを追いかけるVIT。やがてAttilaが好機を捉える。CoreJJにとどめの一撃を撃ち込み、標的をAmbitionに切り替える。

Attilaのトリスターナは「軽々と」前方へロケットジャンプする。

その瞬間から1分と経たないうちに、Gen.Gのグループステージ突破の希望はネクサスと共に崩れ去った。

簡単ではないことを愛せと言われても難しいものだ。Gen.Gにとってリーグ・オブ・レジェンドはいつだって簡単ではなかった。彼らは岩肌むき出しの斜面を必死に登り続けてここまで来た。絶望もメタの変化も、ロースター入れ替えも乗り越えて頂上を目指してきた。その旅路の厳しさは想像すらできない。自分だったら一体どれだけ打ちひしがれるだろうか。あと何度、Crownは泣かねばならないのか。VITがステージ上で頭を下げ終えた頃、Crownはジャケットを手に取りステージを降りた。ステージを包む霧の中に溶けていくかのように、溺れるかのように。これまでの努力が、錨のように彼を海底へと引きずり込んでいくようだった。かけられる慰めの言葉などない。彼の行く先に待つのは、さらなる努力と、さらなる痛みだけだ。私たちが愛を注ぐのは「軽々」としたものかもしれない。だが愛は、時に本当に非情だ。

 

7. まだ生きている

LMSには毎年ひとつは「今年はやってくれるかもしれない」と思わせてくれるチームがいる。見ていると心臓がドキドキしてしまうチームだ。TPAは突然の一目惚れだった。続くahqは運命の相手に思えたが、1度目のデートで期待を裏切られた。そして2015年、私たちはahqを振り、とっておきの相手Flash Wolvesに乗り換えた。その後3年にわたりFWとの関係は良好だった。FWは毎年MSIでSemifinalまで勝ち上がってくれたし、2017年のIEM Katowiceも素敵だった。LMSでは毎Split快勝してくれた。でもある日気付いてしまった。この関係からときめきが失われてしまったことに。いつからか、互いに妥協する関係になってしまっていたのだ。

そして2017年にWorldsは新形式を採用、LMSのシード枠は3つになった。その年はHong Kong Attitudeがその座を得たが敗退。今年はG-Rexがプレイインステージで快進撃を見せ、グループステージにはLMSの全3チームが顔を揃えた。期待は高まったが、その期待は日程が進むにつれて下がっていった。FWはグループ3位と振るわず、MAD TeamとGRXは共に0-6の成績で敗退。WorldsにおけるLMS代表チームの最低記録である。

もうお気づきかもしれないが、私は負けた部分ばかりを取り上げている。このような書き方になってしまったことは申し訳ないが、それでもあなたに考えて欲しかった。リーグ・オブ・レジェンドには勝利か、苦痛にまみれた敗北しかないということを。勝ちたくないチームなどあるだろうか?負けても心を傷めないチームは?いずれにしてもWorldsが閉幕する時、勝者は1チームしか存在しない。それ以外のチームは全員負けるしかないのだ。

ここからは、苦痛を伴わない方法で敗北について語ってみよう。私は、LMSは変遷の時を迎えているのではないかと考える。FWはKarsaなしでプレイすることを学んでいる途中であり、MADはahqの影から抜け出すことを学んでいる途中であり、G-RexはRaise Gamingから大半のロースターを獲得して設立されたLMS 1年目、そもそもWorlds出場を想定していなかったチームだったのだから。たとえばEDG対MADの初戦。私はKのラカンが見せてくれたプレイに興奮した。このチームはひょっとするかもしれないぞと思った。今年が無理でも、来年はと。そしてEmpt2yの努力にも言及しておきたい。彼が快く英語インタビューに応じていた様子は、NA LCSに向けて「オファー待ってます!」とラブコールを送っているように映った。

おそらくGRXとMADは今年のWorldsで優勝できるとは思っていなかっただろう。GRXに至っては、おそらくグループステージに勝ち進んだだけでも上々だったのではないだろうか。ひとつLMSが私に教えてくれたことがあるとすれば、FWも永久不滅ではないということだ。いつの日かFWもLMSのリーダーというポジションを次の担い手に譲る日が来る。それはLMSの下位チームなのかもしれない。そしてGRXやMADは私たちに愛について何かを教えてくれるかもしれない。

 

 

8. 何も終わっちゃいない

人は時に、終わりが近づくと始まりの地に立ち戻る。IG対FNCの最終決戦を控えた今、私の心はプレイインステージ最終日に―ESPNのTyler Erzberger氏がTwitterに投稿したDetonation FocusMeのEviの動画に―立ち戻っている。Erzberger氏のTwitterにはこう記されている。「インタビュー終了後にみんなでLCK Arenaの中を歩いていると、Eviが帰る前の思い出にと写真を撮り始めた」

この動画ではEviの姿は黒い影になって周囲に溶け込んでしまっている。できたばかりのLoL Parkアリーナ、巨大スクリーンが彼の背を照らす。スクリーンにはサモナーズカップが青色と銀色で彩られた聖杯のように輝いている。顔は見えない。だがスマートフォンを横に広く動かしながら撮影するその姿は、アリーナのことをできる限り記録しようとしているその背中は、はっきりと分かる。敬意と興奮、そして数時間前にDFMがKaBUM!に勝利した事を思い起こす気持ちが伝わってくる。

「A Look Back to Move Forward」(前進するために振り返る)とは、以前Lolesportsに投稿された動画のタイトルだ。内容はPiglet(その後Team Liquidに加入)とImpact(その後Impulseに加入)がステイプルズ・センターを再訪するというものだ。空っぽのアリーナで肩を並べて歩く2人は、人がいないアリーナはずっと小さく見えると語る。スタジアムの座席からステージを横目に見て、2年前にステージ上にいたプレイヤーの亡霊と、若き日の自分たちを見守る観衆の亡霊と対面する。そして2人は少しふざけた様子で腕を真上に上げる。ここで動画は2013年の優勝直後、同じ場所でBengiとFakerが同じポーズを取っているシーンに切り替わる。

Impactは常に将来を考えるタイプの人物で、いつでも「最後の日」の計画を立てている。まだSKTに在籍していた2014年、彼は未来の自分に宛ててメッセージを送った。その中で彼は、10年と待たずに自分のプロとしてのキャリアは終わるだろうと当然のように書いている。そして30歳という節目の歳までに、英語を勉強したい、世界旅行をしたい、DJになりたい、タトゥーを入れたいと続けた。2014年の時点でもう終わりを見据えていたのだ。「こういう場所でプレイするのはこれが最後かもな、って毎回考えちゃうんだよね」ImpactはPigletに語っている。

今のところ彼の予想は当たっている。2013年以来、彼はステイプルズ・センターではプレイしていない。一方のPigletはゲームに没頭するタイプであり、過去を振り返って愁いに沈むタイプの人物だ。「T1か…」人差し指を立て、腕を真上に上げるあのポーズを取った場所を見つめながらPigletはつぶやく。「今やぜんぶ夢物語だな」

時間は前に進み続ける。これは時間の最も優れた特徴であると同時に、最も残酷な特徴でもある。明日は必ず来るし、それは誰にも止められない。2つの顔を持つローマ神話の神ヤヌスのように、私たちは今という時を2つの方向から見ている。常に過去を置き去りにしながら、未来に置き去りにされている。Evi本人が知らなかったとしても、空っぽのアリーナで写真を撮っているあの瞬間、彼はPigletやImpactたちとつながっていた。「前進するために振り返って」いたのだ。暗いステージを見つめる彼を思うと、DFMが史上初めてプレイインノックアウトステージ進出を決めた瞬間、Eviが観客席から喜ぶ自分自身を見ていたらどんな気持ちだったろうと考えてしまう。もしかしたら彼は2年後、3年後、あるいは10年後にここに帰ってきて、当時を思い出す自分を想像していたのかもしれない。DFMが活動を続けてきた約7年という時の長さに思いを馳せていたのかもしれない。その7年間ずっと戦い続けてきたチームメイトのCerosのことを考えていたのかもしれない。そして一瞬くらいは、次回DFMが出場を決めて再びステージに上がる時のことを想像していたかもしれない。そして同時に、あと何年プロとしてプレイできるかを考えていたかもしれない。

あるいは、ただ単にずいぶん遅い時間になってしまったと思っていたかもしれない。午前0時を過ぎ、何もかもが閉まっていたから。ホテルに戻って眠る時間だ。そして翌朝目覚めたらPCを起動してクライアントを立ち上げ、リーグ・オブ・レジェンドをプレイする。何勝かするかもしれない。しばらくすればまた大会があるだろう。そこで勝つにせよ負けるにせよ、また次の大会が来る。その繰り返しだ。これまでの8年と同じように。そうなるように、私たちも祈ろう。

 

BY CATHY YANG / 2018年10月31日
CATHY YANG

@TXTDOL

Cathy YangはKongdoo Monsterを追いかけ、
はるばるChallengers Korea (CK)にまで行ったことがあります。
2回あります。
その「決断」に興味のある方は、Twitter(英語)をご覧ください。