ONにすることにより試合結果を表示することができます。

Semifinal : 激闘

2019/09/06, 18:00 - BY RIOT GAMES

LJL

Semifinal : 激闘

6月から始まったLJL 2019 Summer Splitは、ついにプレーオフに突入した。初戦となるセミファイナルは、Crest Gaming Act(以下CGA)とV3 Esports(以下V3)のカードだ。

CGAは前期、15勝6敗という好成績で同じようにプレーオフに進出するも、セミファイナルでUnsold Stuff Gaming(以下USG)に0勝3敗でストレート負け。非常に悔しいシーズンとなった。今期のレギュラーシーズンでは17勝4敗とさらに成績を上げ、初のファイナル進出を狙う。

対してV3は、飛躍のシーズンとなった。前期は8勝13敗と負け越しで、順位も6位と苦しい結果となった。しかし、それが特別というわけではなく、初めてLJLの1部リーグに参加した2018年の春は6チーム中4位、2018年の夏は6チーム中5位と、今期までは上位争いに縁がないチームだったのだ。そんな中、今期はYutorimoyashi選手とBaby選手の加入があり、チームが大きく変化した。その結果、14勝7敗とレギュラーシーズンで勝ち越し、初のプレーオフ進出を決めたのだ。

この2チームにおける今期の直接対決の結果では、CGAが2勝1敗と勝ち越している。しかし、V3は直近の試合でCGAに勝利していることと、レギュラーシーズンのBo1(1勝先取)とは違いBo5(3勝先取)であることも踏まえると、結果はまったく予想できない。

CGAがレギュラーシーズンの好調を維持し、このプレーオフでも勝利するか。あるいは、今期で飛躍を遂げたV3が初のプレーオフでファイナルに進出するか。

それでは、セミファイナルの激闘を振り返っていこう。

 

Game1 : スニークバロンの判断

Game1のドラフトの注目は、Luna選手がリワーク直後のパンテオンをピックしたことだろう。それに対して、Ace選手はモルデカイザーをピック。最近リワークを受けた2体のチャンピオンがMidレーンで衝突することになった。

試合を見る

Game1は、V3が終始ペースを握る展開で試合が進んでいく。そしてこのGame1での決定打となったのは、V3のスニークバロン(相手に気付かれる前にバロンナッシャーを倒す、あるいは体力を削ること)だ。

単純にスニークバロンといっても、タイミングが非常に難しく、リスクも大きい戦略だ。というのも、スニークバロンは一般的に少数で行われるため、バロンの体力を削るのに時間がかかり、そのぶんバロンから受けるダメージも大きくなる。そんな状態で戦闘を仕掛けられれば、高確率で敗北してしまう。そのため、成功させるためにはさまざまな要素からタイミングを判断しなければならない。

まずV3がスニークバロンを仕掛けたのは、27分30秒ごろだ。このタイミングは、スニークバロンを成功させるためのいくつかの要素が集まっていた。

1つ目は、26分ごろにV3がマウンテンドレイクを獲得していたことだ。これにより、バロンへ与えるダメージが上がっており、素早く体力を削ることができるようになっていた。

そして2つ目が、Yutorimoyashi選手のザヤがレッドバフとブルーバフを持っており、さらにADCのパワースパイクと言われる3つのコアアイテムを完成させたタイミングだったことだ。ブルーバフによってマナを気にせずスキルを使うことができ、アイテムとレッドバフにより与えるダメージもかなり高くなっていた。

そして3つ目が、Midレーンにhachamecha選手のカーサスが見えたことだ。V3はAce選手がモルデカイザーをピックしており、モルデカイザーは対象の相手を7秒間冥界に閉じ込めるというRスキル「死の国」を持っている。もしhachamecha選手がスマイトでバロンを盗もうとしてきてたとしても、Ace選手が睨みを利かせている間はそれができない、というわけだ。

バロンの体力を半分ほどまで削ったころ、CGAが異変に気付くも、時すでに遅し。hachamecha選手がバロンに向かおうとするが、そこにはAce選手がいて近づくことができない。そのままバロンを獲得したV3は、続く集団戦で4人をキル、さらには流れのままにネクサス前での戦闘も、体力的に不利な状況をものともせず勝利。重要なGame1は、完璧なタイミングでのスニークバロンを成功させたV3が勝ち取った。

 

Game2 : 追撃の要素

Game2のドラフトでの注目は、hachamecha選手のドクター・ムンドのピックだ。ドクター・ムンドは今年のLJLで初ピックであり、さらに言うとJungleでのピックというのは、今年の世界のプロシーンを見てもデータがない。確かに、バフなども相まって少し注目度は上がっているものの、そんなピックを大一番で持ってくるところに彼らの挑戦心がうかがえる。

試合を見る

Game2は、拮抗した展開が続く。CGAがキル数では有利を掴んでいるものの、V3のPaz選手が大暴れしており、Paz選手のスプリットプッシュ(ひとりでレーンを押し進むこと)に対応することが難しくなってきていた。

そんな中で、CGAは38分30秒ごろ、V3を出し抜きバロンを獲得。それに対してPaz選手は、「Nap選手との1対1で勝利して、ゲームを終わらせよう」という狙いで、CGAのネクサス前へとテレポートした。

まず、そこで起きたのはPaz選手とNap選手の1対1だ。非常に育ったカミールを止める手段こそNap選手は持ち合わせていなかったが、しっかりとネクサスタワーを守り抜きPaz選手を追い返すことに成功。そして、バロンバフの効果で即座にリコールしたLuna選手が、Paz選手へと追撃する。

ただし、非常に育ったカミールを相手に1対1を行うのは、Luna選手が扱うタリヤでは荷が重い。そのため、Luna選手には追撃できるだけの要素が必要だった。その要素となったのが、Paz選手が早く逃走しようと移動用に使った、カミールのE「フックショット」だ。

タリヤは、距離を詰めてくる相手に対しては戦いづらい、中距離での長時間戦闘が得意なチャンピオンだ。そのため、カミールが敵との距離を詰めるために使ってくるフックショットがあるかないかは、タリヤがカミールを相手にする際にとても重要な要素になる。

Luna選手は、Paz選手のカミールがフックショットを使ったのを見て、即座にRスキル「ウィーバーウォール」で距離を詰めていく。この状況において、Paz選手はLuna選手と距離を詰める手段がR「ヘクステック・アルティメイタム」しかないため、Luna選手に反転し仕掛けていく。それに対して、Luna選手もW「サイズミックシャープ」でPaz選手をノックバックさせ、再び距離を取っていく。この時点で、この1対1において、Luna選手の勝利が決まったといってもいい。

Paz選手は慌てて距離を取るも、バロン戦闘後のArt選手が合流し、Paz選手を挟撃しキル。1つのスキルが落ちたタイミングで即座に追撃を仕掛けたLuna選手の判断が、Paz選手を抑えつけ、その流れのままGame2はCGAが制した。

 

Game3 : タワー下の急襲

Game3では、CGAがルシアンを最初にピックし、ブラウムとルシアンというBotレーンで序盤から仕掛けていくコンビで行くと思わせてから、最後のピックでシヴィアをピックしてMidにルシアンを持っていくという面白いドラフトを組んできた。

CGAがADCに相手のスキルを無効化できるスキルを持つシヴィアをピックすることで、V3のviviD選手のスレッシュは優秀なセットアップ能力(味方の奇襲に合わせて行動阻害などを与え、奇襲を成功させるための能力)を活かしづらくなる。CGAがviviD選手を警戒して組んだドラフトと言えるだろう。

試合を見る

Game3はレーニング段階ではTopレーンとBotレーンがV3有利、MidレーンがCGA有利というような展開になっていた。そして勝利のキーポイントになったのは、試合時間21分20秒ごろのV3のMidタワー下への急襲だ。

まず準備段階として、Ace選手のポーク(射程の長いスキルで相手が反撃できない位置からダメージを与えること)でCGA全体の体力が低くなっていたことと、viviD選手のスレッシュがプレッシャーをかけてatyamomo選手のフラッシュを落とさせていたこと。

そしてタワーの体力が低くなったタイミングで、ミニオンを倒そうとしたhachamecha選手をBaby選手がスタンさせる。5対5の状況だが、CGAはチーム全体の体力が低く、自軍タワー下でも積極的に仕掛けることができなかった。そこでV3はhachamecha選手を全員で狙い、一瞬で倒してしまう。その代償としてPaz選手が倒されてしまうが、CGA全体の体力をさらに減らすことに成功し、一挙にMidレーンの2本のタワーを獲得する。

これでMidレーンの不利な状況を覆したV3は、Midレーンを起点に視界管理を徹底していく。そして26分ごろ、視界を活かしてバロンの獲得に成功、29分ごろからバロンバフを活かしてネクサスを破壊。Game3はV3が勝利し、先にファイナルへと王手をかけた。

 

Game4 : レーニングの主導権

Game4では、V3がJungleにシヴァーナという珍しいチャンピオンを持ってきた。LPL(中国のプロリーグ)のプレーオフでピックされたが、少なくともメジャーになるチャンピオンではない、といったような位置づけだ。

魔力アイテムを購入するシヴァーナは、Rスキル「龍族の血統」でドラゴンフォームになった際のポークがとても強力だが、それ以外のときの戦闘力が低いという弱点がある。また、チームがドラゴンを倒すたびに自身が強化されるため、ドラゴンを倒すことの重要性が高くなってくる。

試合を見る

Game4はレーニング開始直後から試合が動いた。

1分45秒ごろ、atyamomo選手のノーチラスがここしかないというようなタイミングでQ「錨投げ」をYutorimoyashi選手に命中させる。Yutorimoyashi選手はすぐにフラッシュで逃げようとするも、Art選手とatyamomo選手もすぐにフラッシュで追撃。開始から2分を待たずして、レーンでキルを生み出した。

そしてCGAにとっては最高の、V3にとっては最悪の展開となったのが、その40秒ほど後だ。Yutorimoyashi選手がテレポートでレーンに戻ってきて、まだレベル1のタイミング。atyamomo選手がもう一度錨投げをYutorimoyashi選手に命中させ、Yutorimoyashi選手に2デス目を献上。

この試合は、CGAがBotレーンで掴んだ有利を離さなかった。12分40秒の時点でBotレーンのタワーを2本破壊し、22分ごろにはバロンを獲得。Botレーンで掴んだ有利をマップ全体に還元し、完璧とも言える試合内容でGame4はCGAが勝利。セミファイナルは、最終戦であるGame5へともつれ込んだ。

 

Game5 : インべイドを返したV3の連携

Game5のドラフトは、V3のカウンターピック(構成よりも、レーンで対面するチャンピオンに合わせてピックすること)が目立つドラフトになった。V3はザヤに対してはケイトリンという射程の長いチャンピオン、シェンに対してはアルティメットスキルにアルティメットスキルで対抗でき、1対1でもまず負けることがないガングプランクを合わせていく。

そしてCGAは、Topにシェン、Midにルルをピック。Art選手の守りを固めて、集団戦の際にArt選手に大暴れしてもらう構成だ。

試合を見る

Game5は、CGAのインべイド(ミニオンが到着するまでのタイミングで、敵側のジャングルに侵入すること)から始まった。結果から言うと、この序盤の行動がGame5の勝敗を分け、このセミファイナルの行方を決めた。

CGAはGame2で一度インべイドを成功させ、その際にはviviD選手をキルすることに成功している。だがこのGame5は、Game2とは大きく違った結果に終わることになる。

V3は、Baby選手がコール(チームへの呼びかけ)を行い、インべイドへの警戒をしていた。これについて、Baby選手はインタビューで「相手の構成がレベル1で強力なチャンピオンが多く、前の試合でも同様なインべイドがあったから」と語っている。

この警戒の答えが、ドラゴン裏へのトリンケットワードであり、これが布石となり相手のインべイドを逆に利用することができた。通常、インべイドを予測していても、安全な場所で待機したり、ワードをもっとジャングルの入口付近に配置して、侵入自体を察知することがほとんどだ。このドラゴン裏へのワードというのは、相手が侵入してくることを読んだうえで、どういった動きをするか、という部分を知るためのワードになっている。

そして、このワードは、CGAの1度目のインべイドの前に配置されていた。ワードを置いたときには、ワード自体に数秒の可視時間があるため、もしインべイドをされたあとに相手の動きを知るためのワードを置くと、ワードの位置が見られてしまいカウンターができなくなってしまうためだ。

CGAはV3のカウンターを予測しておらず、3人でインべイドを行っていく。そしてレッドブランブルバック(レッドバフ)に攻撃したタイミングで、視界に映らないように隠れていたV3のメンバーが奇襲をかける。CGAもLuna選手が合流してくるが、V3はTopのPaz選手とMidのAce選手が合流。V3は5対4の形を作って、hachamecha選手をキルした。

そのキルと同時に、Art選手がフラッシュで逃げた体力の低いBaby選手に追撃しようとフラッシュを使うが、Baby選手は咄嗟の判断で目の前に出現したモンスターにスマイトを使い、体力を回復。そこで稼いだ1秒間で、viviD選手が持っていたヒールがBaby選手に間に合い、V3は開始から2分足らずで合計3キルを獲得した。

通常、この時間帯のキルが決定打となる試合は少ないが、このGame5については、レベル1でのインべイドに対するカウンターが勝敗に大きく関わった。というのも、CGAはArt選手を守って戦う構成であるため、Art選手がこのタイミングでキルされ、レーニングで不利な状況になると、チーム全体のダメージがどうしても少なくなってしまう。V3はYutorimoyashi選手がケイトリンという射程が長くレーンの主導権を握れるチャンピオンだったことも影響して、13分時点でADC同士のラストヒットの差は60近くになるなど、カウンターピックがうまく機能したのだ。

チーム連携でインベイドのカウンターを成功させ、Art選手を封じ込めたV3。最後はインヒビターをすべて破壊し、完璧なゲーム内容で初のファイナル進出を決めたのはV3となった。

 

9月16日、LJL 2019 Summerはついにファイナルへ。

激闘の末、CGAに勝利したV3。日本人選手3名へのインタビュー記事がこちらから確認できるため、ぜひ一読していただきたい。

そして、9月16日(月・祝)に行われるファイナルでは、V3は今期のレギュラーシーズンを1位で終えた前期王者DetonatioN FocusMe(以下DFM)との対決となる。屈指の強豪であるDFMを相手に、V3はどのような戦いを行うのか。そしてファイナルに勝利し、シーズンの締めくくりでもある世界大会「2019 Season World Championship」への切符を掴むのはどちらのチームになるのか。

今期最後のLJLの試合、プレーオフファイナルは9月16日に開催だ。

ファイナルはこれまでのヨシモト∞ホールから場所を移し、大規模会場であるアリーナ立川立飛にて行われる。チケットの販売ページはこちらから確認が可能だ。

 

 

 

ライター:つきひ