ONにすることにより試合結果を表示することができます。

誰よりもDFMとV3を研究したQooコーチが考える、Finalsのドラフト予想

2019/09/12, 18:00 - BY RIOT GAMES

LJL

誰よりもDFMとV3を研究したQooコーチが考える、Finalsのドラフト予想

LJLの試合前インターバルで、キャスター陣はよくこんな風に言います。

「ドラフトが注目ですね」

ドラフト、つまりバンピックは両チームのゲームプランが詰まっているものなので、それが大事なのは間違いありません。ドラフトが終わった時点でゲームは半分終わってる、なんて言う人もいるくらいです。

でも、実際のところドラフトで何が起きてるのか、コーチや選手が何を考えてるかは正直ちゃんとはわかりません。これは、同じような感覚の人も結構いるのではないでしょうか。

DFMとV3のFinalsの展開を予想するうえでも、水面下の駆け引きがすでに始まっているはずで、それが分かればFinalsを見るのはもっと楽しくなりそうなのに……。ということで、現時点で誰よりもこの2つのチームの研究をしている人であろうCGA・Qooコーチに、Finalsのドラフトをどう見ているかを教えてもらいました。

 

セミファイナルで残った悔いは「精度」

――セミファイナル、おつかれさまでした。

Qoo「ありがとうございます、さすがにつかれました(笑)」

 

――激戦でしたし、戦術的にもバリエーション豊かなBo5でしたね。

Qoo「そうですね、自分としては4戦目までは悪くなかったんですけど5戦目は悔いが残るゲームでした」

 

――ピックの話をTwitterでしていましたね。悔いというのはルルの部分ですか?

Qoo「ルルのピックは確かに用意してたものとは違ったんですけど、選手と話す中であがってきて、自分でも『悪くない』と判断して出しました。もちろん別の選択肢もあったとは思うんですが、ルルピック自体の後悔はそこまで大きくはないです」

 

――ではインベードの判断?

Qoo「いや、インベードも戦略自体は悪くなかったと思います。もちろんハイリスク・ハイリターンではあるんですが、5戦目で選手たちのテンションも高まって一気に有利を取りに行こうという雰囲気だったので、そこもいいんです」

 

――とすると、どんなところでしょう?

Qoo「インベードに行くならば、相手が警戒してる可能性とか、ルートの選択とか、そういう確認事項をピック後の数十秒でもっと選手たちと話すべきでした。試合後に帰ってきたhachamechaが第一声で『どうしてあのワード警戒できなかったんだ』と言っていて、そういう細かい注意点を改めて確認して伝える必要があったのに、できなかった。Babyさんの警戒の仕方も上手かったけど、そこを詰められなかったのはコーチとしてのミスです」

 

――戦略戦術そのものというより、精度を高める方法がまだあった、と。

Qoo「そんなイメージです。来シーズンへの課題ですね」

 

V3はBabyが怖い、DFMはCerosが厄介

――と、今日はその来シーズンの前に、Finalsのドラフトの話を聞きたいなと思っています。QooさんはDFMとV3を、当事者以外で一番研究した人だと思うので。

Qoo「それはまぁそうかもしれませんね(笑)」

 

――そもそもの話なんですけど、ドラフトってまず何から考え始めるんですか?

Qoo「人によっても違うでしょうけど僕の場合は、ファーストピックでお互いに何が欲しいのか、から考えることが多かったです。CGAは集団戦に自信があるチームだったので、レーンでカウンターを当てることを気にするよりは、やられすぎずに集団戦まで行ければひとまずOKという考え方でした」

 

――そうすると、バンはどういう考え方になるんでしょう。

Qoo「人を狙ってバンを割くことが多いですね。あるプレイヤーのチャンピオンプールが広いと言っても、能力を60%出せるか、80%出せるか、100%出せるかは違うので、その人の中で明らかに得意なピックがある場合は狙いに行きます」

 

――V3戦では、タム・ケンチ、エリス、アカリ、カーサスのバンが多かったです。

Qoo「V3はやっぱりBabyさんが怖くて、LJLで一番相手にしたくないジャングルだと思います。中でもエリスは本当に上手い。セミファイナルでも、警戒したのにそれでもやられましたから。 カーサスはちょっと事情が違って、CGAはJungleが日本人のhachamechaで、これは本人も言ってるんですが常に対面が格上なんですよ。だからいじめられるのを耐えるのは慣れてるけど、こっちからいじめに行くのは難しい。なので、育つとどうしようもないカーサスはバンの優先度が高かったです。DFMがどう考えるのか、気になりますね」

 

――DFMはどんなイメージですか?

Qoo「DFMはバンが難しいチームで、出してくるチャンピオンの水準がどれも高いのでバンしても困らせることがあまりできない。飛び抜けて怖いのは、Gaengさんのラカンやユーミです。なのでDFMと戦うときは、Cerosさんの特殊ピックを消しにいくのがひとつの定石だと思います」

 

――ハイマーディンガー、ジグス、カルマあたり。

Qoo「そうですね。その辺りをバンして、一般的なチャンピオンをピックさせて勝負した方が展開の計算が立ちやすい、というのが正直なところです。全部開けてほかにバンを割いて、っていう手もあるんですけど、LJLでそれをやって勝ったチームはほぼないんですよね。すごく厄介です(笑)」

 

――実際にピックしていなくても、メタから外れていても、Cerosさんがいるだけでバンピックに大きな影響があるのは面白いです。ということはFinalsを総合的に見ると、DFMの方がドラフトはやりやすいということですか。

Qoo「そうだと思います。ただDFMはTopとMidのフレックスがあまりないからか、シーズン中の21戦中17戦をブルーサイドで戦ってるんですよ。V3も基本的にはブルーサイドを取りたいと思うんですが、レッドサイドでもアカリ、レネクトン、ジェイスあたりをフレックスで先出しして最後にカウンターを当てやすい利点はあります」

 

――では実際のFinalsのドラフトをQooさん的にはどう予想しますか?

Qoo「DFMがバンしたいのは、アカリ、エリス、あとはBotレーンでしょうね。ザヤ、ラカンをペアで取られるのは避けたいと思うので、どちらもバンされなければファーストピックでザヤを取る可能性も高そうです。viviDさんがここまでユーミを使っていないので、レッドサイドの時に開けるかどうかは注目してます」

 

――V3としてはCerosさんにバンを割きそうですか?

Qoo「さすがにGaengさんのユーミは消しそうですね。Cerosさんのジグス、ハイマーディンガー、カルマあたりとの兼ね合いで、たとえばジグスだけ開けてユーミを消す、みたいな可能性はありそうです。ただV3がチームとしてユーミを使う選択肢がないとしたら、ブルーサイドでもバン枠をひとつ使う必要が出てきます。そうすると相当苦しいドラフトになりますね」

 

BabyとStealのタイプの違い

――DFMはブルーサイドでエリスをバンしても割と余裕があるけれど、V3は枠が足りなくなってしまう可能性があるんですね。V3側はStealさんのチャンピオンは制限しなくていいんですか?

Qoo「使えるチャンピオンも多いし、どれも練度が高いのでバンしても効果が薄いんですよね……。スタイル的にも相手Jungleの位置を把握してレーナーを助ける役回りが多いので、ひとつやふたつバンしても影響度を下げられない。Babyさんが『一番相手にしたくないJungle』だとしたらStealさんは『仲間にいると一番やりやすいJungle』です」

 

――面白い対比です。両チームTopもかなりキャリー力のあるチームですが、そこもスルーになる可能性が高いと。

Qoo「DFMは以前はTopレーンにリソースを注ぎ込んで勝つチームでしたが、今シーズンはStealさんがBotレーンをケアすることが多いです。その影響でEviさんがガンクを受けることも多かったので、リスク管理がどのくらい向上しているかは勝敗に影響するかもしれません」

 

――Pazさんはどうでしょう?

Qoo「Pazさんは『放置され上手』ですよね。V3も基本的にはBotが強いチームで、チームとしてはBotのケアが手厚い。それでPazさんは放置されることが多いんですが、孤立した状況でもマイナスを最小限にしつつ、隙あらば切り返すこともできます」

 

――どちらもチャンピオンプールが広いですし、バンを割くのはあまり得策ではない?

Qoo「そうですね。Topは今強いレネクトン、エイトロックス、カミールに加えてEviさんのナー、ランブル、Pazさんのガングプランクなど選択肢が多くて、予想が一番難しいレーンですね」

 

――どちらかのチームがTopレーンから一気に動かしてくる、という可能性はありますか?

Qoo「やるとしたらDFMの方が可能性は高そうです。決まれば試合の流れを一気に持っていけますが、DFMもV3もBotが崩れると脆いところがあるチームなので、ハイリスク・ハイリターンな手にはなりますね」

 

――全体のドラフトで、ポイントになりそうなプレイヤー、チャンピオンはいますか?

Qoo「個人的には、Eviさんのピックを注目しています。シーズンではナーを多用していましたが、あれだけのプレイヤーがほかのピックを見せていないのはやっぱり怖い。パンテオンとかモルデカイザーのような1対1に強いチャンピオンが出てくる可能性があるんじゃないかと思っています。あとは逆にMidを押せる状況を作ってのブラッドミアとか。V3側に奇策があるとしたら、Cerosさんの特殊ピックに対してMidで何か用意をしているかどうか。ハイマーディンガーにシンドラ、のような奥の手は隠しているかもしれません。あとはPazさんも何を隠しているか読みきれません」

 

――総合すると、Qooさんから見てどちらが有利という予想でしょう。

Qoo「ドラフト的には、DFMが若干優位だと思います。V3の方が元々バンしたいものが多いうえに、うちとのセミファイナルで手札も見せてるので。ただBo5は、1戦目の勝ち方によっては相手の準備を崩すことができるので、特にV3にとっては1戦目が本当に大事です。逆にDFMが初戦を取れば、そのまま一気に行く可能性もあると思ってます」


DFMとV3を研究し尽くしたQooコーチの見解は、「基本的にはDFMが優位、V3が2週間で何を用意してきたか楽しみ」というものでした。

ドラフトもインゲームもBotレーンが主戦場になりそうですが、逆にTopサイドで何かを起こせば相手のゲームプランを破壊できる、ということでもあります。

「普通にやれば勝てる」と考えているか、「展開を荒らす必要がある」と考えているか。そんなこともドラフトから見えてくるかもしれません。

Finalsが待ち遠しくなってきました。

 

 

 

インタビュアー:八木葱