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アメリカで生まれ育ったYukiが、祖国日本でつかんだチャンス

2017/07/11, 18:00 - BY RIOT GAMES

LJL

アメリカで生まれ育ったYukiが、祖国日本でつかんだチャンス

単身日本へ渡ったYuki、アメリカ在住の家族も応援

 おとなしそうな雰囲気だが話しかけると意外とよく喋り、ふとした瞬間にニコッと笑顔を見せる好青年。

 筆者が持っていたYukiに対する印象は、そんな感じだった。日本人の両親を持つ日本国籍保有者だが、アメリカに住んでいたため母語が英語である、という話は聞いていた。それでも日本語の発音に違和感はないので、いわゆる帰国子女かと思ったのだが、なんと日本に住み始めたのはRascal Jester(RJ)加入後だとか。いったいどんな経緯があったのか、詳しく尋ねてみた。

「RJに入ったのはちょうど1年前の『LJL Challenger Series(LJL CS)』のSummer Splitからで、僕がアメリカで大学を卒業するタイミングでした。最初は日本人の友達から、RJがメンバーを募集していると教えてもらったんです。僕も卒業すれば時間ができるから、日本に住む祖父母に会いに行こうかなと思っていたので、ついでにチームのトライアウトを受けて上手くいけば『LJL』に出られるかな、って感じですごく気楽に日本へ来たんですけど、気づいたらここまで来ちゃったという感じですね(笑)」

 家族は今も、アメリカに住んでいるという。

「母と姉は同じスタンスで、“やりたいなら頑張って”みたいな感じだったんですけど、父は最初けっこう反対していましたね。でもちょうどSummer Splitが始まる前に、何かの用事で日本に来るということで、会っていっしょに食事をしたんですが、父がチームのことや選手の名前もいっぱい知っていて、僕のことも認めてくれていた感じだったのでちょっと感動しましたね。どこまで見ていてくれているのかはわかりませんけど、けっこう話してくれたので嬉しかったです」

 LoLの本場とも言えるアメリカなら、プロゲーマーという職業を理解してくれる人も日本より多い環境なのかもしれない。Yuki本人も、北米の公式リーグ『NA LCS』を見ながらプロゲーマーの夢を育んでいたのだろうか。

「正直な話、日本でチャンスがあるかもぐらいの感じでした。もし『Promotion Series』で昇格できなかったら諦めるつもりでやっていたんですが、『LJL CS』を戦いながらプロゲーマーとしてやっていきたいなと思うようになりました。今では、アメリカの友達も応援してくれています。アメリカではLoLをやっている人が多いので、あまり知らない人からも“プロゲーマーなんだね”と言われることはありますね」

 

英語、日本語、韓国語……チームの“言葉の壁”を乗り越えて

 Yukiは国籍上日本人であるとはいえ、暮らしたことのない日本での生活は少々大変そうである。

「来日して1年半ぐらいなんですけど、正直LoLの練習ばかりしていたので、まだ観光客みたいな目線で全部を見ている感じですね。最初は日本語もあまり話せない感じだったんですけど、そこはけっこう慣れてきたと思います。一応アメリカでも家では日本語を使っていましたし、土曜日だけ日本語の学校に6年生まで通っていました。漢字も一応勉強はしたんですけど、正直あんまり読み書きはできないですね(苦笑)」

 初めて入った日本チームでのプロゲーマー生活について、どのように感じているのだろうか。

「もうちょっと勝ちたいなっていうのはありますが、やりたいことができて嬉しく思っています。チームのメンバーも優しいし、みんなといっしょにいられて楽しいです。韓国人選手もいますけど、WyverNは日本語があまりできない代わりに英語がわりと喋れるんです。Lavieも英語が少しできますが、足りない部分はWyverNに通訳してもらっている感じですね」

 Botでコンビを組むNoAとも上手くやれているのか、気になるところだ。

「たぶん今シーズンから仲良くなれた、という気がします。『LJL CS』のころはまだやり始めて2か月ぐらいだったし、NoAがゲーミングハウスに住んでいなかったのであまり関わり合いがありませんでした。昨シーズンからはNoAもゲーミングハウスに住みはじめましたが、正直に言うと、すごく仲が良いっていうわけではなかったんですよね。たぶんちょっとだけ僕の日本語が不器用な感じでちゃんと伝わっていなかったり、NoAの言いたいことが僕の頭の中でちゃんと理解できていなかったりしたのかもしれません。あと今シーズンから、NoAも丸くなった感じはします(笑)」

 Lillebeltコーチによると、昨シーズンまではフィードバックするときに二人とも意固地になってなかなか折れないこともあったという。それがだんだん意地の張り合いではなくなり、良い方向になってきているのだそうだ。

 

苦しい4連敗から待望のSummer Split初勝利

 Summer Splitで4連敗と苦しい戦いを強いられてきたRJだったが、6月30日に行われたRound5のBurning Core(BC)との対戦で、ついに今シーズン初勝利をおさめた。1戦目の45分を超えるロングゲームを制したのはBCだったものの、その後見事に立て直しを図り2-1で勝利を飾ることに成功したRJ。画面いっぱいに映し出された彼らの喜ぶ姿に、胸がいっぱいになったファンも多かったことだろう。

「勝ったときはみんなすごく喜んでいて、僕ひとりだけ良かったぁ、みたいな感じでしたね(笑)。みんなは試合が終わる前から喜んでいましたけど、僕はネクサスが割れるまでは安心できませんでした。正直に言えばもうちょっと早いタイミングで勝ちたかったけど、1勝できて良かったです。課題になっていた中盤の動きが、それなりのレベルまで上がってきたので勝てたと思います。簡単に言うとワードを置く前にMidレーンを押し込む動きができていなかったので、そこをクリアできたからその後のやるべきことがちゃんとできたっていう感じですね。1戦目終了後の “チームで集結してワーディングできなかったら負けだよ”っていうコーチのLillebeltさんのひとことで、2戦目以降はほぼ改善されました」

 ここまで相手も4連敗中であり、負けたほうが単独最下位になるという厳しい状況だった。この大事な戦いに向けて、どのように準備してきたのだろうか。

「僕とNoAが考えていたのは、今Botレーンでスレッシュが強いのでそれにどう対応するか、スレッシュ以外がきたら何を使うか、ということでした。結局3ゲームとも相手がスレッシュで、僕も全部ブラウムを使ったんですけどね。あとはMidのHollis選手が強いっていうのはわかっていたので、Lavieがどんな感じになるのかなっていうのを、心配はしていなかったけど考えてはいました。でも3試合目はソロキルとかもしていたので、相手のストロングポイントを潰すことができて、スムーズにできた感じはしましたね」

 どうやらRJは、相手のことよりもまず自分たちがどうするかという点を重視しているようだ。

「中盤からからゲームをどう動かすかっていうのを、3週間ぐらいずっと練習していたんです。序盤は勝つ自信があるし、負けているときの動きもそんなに悪くないと思うので、勝っているときの中盤の動きが改善できればもっと試合に勝てるようになると思います」

 

「上位チームのBotレーンとの差をひとつひとつ改善したい」

 そうして練習の成果を発揮して勝利したRound5でも、自分のプレイにはそれほど満足していないという。

「1戦目はTopレーンにWyverNがけっこう寄っていて、僕とNoAがどのタイミングで来てほしいとか自分たちから出す情報が足りなかったんです。2戦目はレベル3でギャンクに来てくれて相手のフラッシュを落とし、フラッシュのないタイミングでもう一度ギャンクに来てくれたのですぐにタワーを壊すことができました。3試合目は正直イーブンでしたけど、もっと有利をとれたはずでしたね」

 今RJのBotレーンが抱える課題は何なのだろうか。

「マッチアップの理解度や、有利な状況ををどうやって広げるかとかが足りていない気がします。レーンの主導権がとれても僕とNoAがどうやってちゃんとそれを生かすのか、どうやってほかのレーンにも広げられるのかが、まだちょっとできていないです」

 しかし課題がきちんと見えているのであれば、目標も立てやすそうだ。

「上位のチームのDFM、RPG、USGのBotレーンにも今ならいい勝負ができると思うんですけど、勝てるところまではできていないので、勝てるようになりたいですね。昨シーズンはミスも多かったし理解度も低かったんですが、僕もNoAもレベルアップしたので上位チームとの差をひとつひとつ改善していって、どこかのタイミングでレーン戦をきれいに勝ちたいです」

 Summer Split後半戦は、奇しくも上位3チームとの戦いが3連続で組まれている。最後にファンへ向けて、「RJのチームとしてのポテンシャルを信じてほしい」と力強く語ってくれたYuki。チーム全体はもちろん、Botレーンの攻防にも注目していきたい。

ライター:スイニャン