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YutoriMoyasiは、LJLを背負ってWCSに向かうのだ。

2017/08/29, 18:00 - BY RIOT GAMES

LJL

YutoriMoyasiは、LJLを背負ってWCSに向かうのだ。

 あるチームの勝利、成功を願うことは、対戦相手の敗北、失敗を願うこととすごく近い距離にあります。

「特定のチームのファンになることは、排外主義者として振舞う覚悟を必要とする」なんて言い方があるのも、そんな理由があるからでしょう。

 ましてそれが、2強と言われるチームならなおさらです。たとえばLJLのRampage(以下RPG)とDetonatioN FocusMe(以下DFM)のように。

 でも実は、選手同士の距離は想像よりもずっと近かったりします。

 LJLファイナルで戦ったDFMの選手たちが、ついさっきまでWorld Championship(以下WCS)への切符をかけて争ったYutoriMoyasiとすれ違う時に「WCSがんばって」と声をかけるぐらいには、彼らは「仲間」だったりするんです。

 日本勢として初めてWCSに出場するRPGのYutoriMoyasiはファイナルの激闘の直後に、チームと、そしてLJLのRPGと戦ったライバルたちについて、話してくれました。
 

 

RPGの日本一なところはどこですか?

――すごい試合でした、優勝おめでとうございます。最後の最後まで紙一重でしたね。

YutoriMoyasi「本当に紙一重で、特に序盤は相当やばかったです。シーズンの最後にDFMにボコボコにやられて、しかも明らかに自分たちより強いっていう負け方をして、でもそこからチームで話し合ってきた結果が出てよかった。一番大事なのは自分たちが練習してきたものを出すことかなと思ってました。それで負けたら相手の方がうまかったっていうことだから、しょうがないなって」

――このギリギリの試合、勝因は何だと思いますか?

YutoriMoyasi「今日は僕らが勝ちましたけど、もう一回やったらどうなるかわからないし、DFMもそう思ってると思うんですよね。お互いにこの試合に向けて、選手もスタッフもみんなで準備して、だからもう総合力としか言いようがないというか……」

――ではちょっと聞き方を変えまして、今シーズン日本一になったRPGの、日本一なところはどこでしょう。

YutoriMoyasi「えーどこかな。でもやっぱりチームワークかな。たとえばTopとMidがテレポートを2つ持ってスプリットプッシュしたり、4戦目みたいにバロン前のにらみ合いでテレポートをギリギリまで引っ張ってサイドを押させたりしてたんですけど、あれって人数差ができるから超怖いじゃないですか。でもコミュニケーションがしっかり取れて意識が共有できてるからこそ、取れる戦術なんですよね。あれはDFMがあまりやらなくて、僕らができたことのひとつかなと思います」


 

徹底してYutoriMoyasiに託す形を選んだRPG

――ファイナルで言うと、RPGは一貫してMoyasiさんが終盤にキャリーすることを信じた構成を作っていました。そのチームの命運を任せられるプレッシャーって、実際どうですか?

YutoriMoyasi「ほんとやばいですよ。特に5試合目の前にADCのピックを変えようかっていう話をしたときに、Daraがルル+トリスターナをやりたいって言いだしたんですよ。トリスターナは序盤辛いのに、Eviもやろうって言ってくれて。それってつまり、『信じて待つから最後キャリーしてくれ』っていうことじゃないですか。正直僕的には『えーまじか』って感じですよ(笑)、自分がひとつミスったら終わりだし、もちろん怖さもプレッシャーもある。でも最後のゲームでそこまで信頼して僕に託してくれたことはすごい嬉しくて、もうやるしかねーなって覚悟を決めました」

――Springのセミファイナルで、最後の最後にDaraさんがジャンナを出した時に似てるなって思いながら見てました。あの時もほとんど練習はしていなかったと聞きました。今回のルルは……。

YutoriMoyasi「僕も、あれに似てるなって思ってましたね。Daraがそういうこと言うときは、僕にキャリーさせて勝つんだ、っていう意志の表れなんですよ。だって普通に考えたら今日は4戦目までラカンとかスレッシュでSupportが仕掛ける流れだったのに、それが最後の最後にそこまで練習してなかったルルですからね」

――最終戦は本当にすごいゲームで、序盤リードされたところから反撃のきっかけになったのが、Moyasiさんが仕掛けてRamuneさんがきっちり回収してのダブルキルでした。そのときRamuneさんが本当に勝負師というか、図太い表情をしていたんですよ。Moyasiさんにとっては弟分みたいなところもあると思うんですが、“兄貴”的には今日のRamuneさんはどうでしたか。

YutoriMoyasi「え、ドヤ顔してたんですか、さすがに見てなかったです(笑)。今日のRamuneは、1戦目はマスタリー間違えて『リメイクできるかな』とか言ってて、こいつ大丈夫かって感じでしたけど、試合を追うごとによくなってましたよね。実際は結構信頼してるんで、やることはやってくれるって信じてました」

――あとで何か声をかけますか?

YutoriMoyasi「それはまぁ……いじります。何マスタリー間違えてんだよ、って(笑)」


 

Yutaponにかけられた、ぞくっとする一言

――そこは変わらず、なんですね(笑)。そういえばさっき、DFMの選手たちにも声かけられてましたね。

YutoriMoyasi「Yutaponに目を見て本気な感じで『ワールドがんばって』って言われて、あれは重かったです。Yutaponって普段はそういうことを言うキャラじゃないから、ぞくっと来ましたね」

――DFMに限らず今シーズンはLJLの6チームそれぞれに強さがあって、試合にも緊張感があって、それでRPGも強くなった部分があるのかなと思うんです。その選手たちに、「行ってくるぜ」っていう宣言はありますか?

YutoriMoyasi「ほんと今シーズンはどこも強くて、順位的には下のチームでも僕らにないものを持ってるし、学ぶところが絶対にあるんですよね。戦う中でそれを取り入れたり盗んだりするのは大切だし、チームと選手にリスペクトがあるから、本気でぶつかろうと思ってました。ある意味、LJLで叩かれて鍛えられて今のRPGがあるというか。だから、全部のチームと選手に感謝してます。そのLJLを、日本を背負って僕らはWCSで戦いたい。負けるためにいくわけじゃないんで、DFMのファンも、他のチームのファンも納得してもらえるような戦いをしないとって思います」

――話を聞かせてもらう機会が増えて、選手同士の距離が想像していたよりずっと近いんだなっていうのは本当に感じます。

YutoriMoyasi「7月のRiftRivalsでは仲間だったし、その後も連絡取ったりしてますからね。もちろんライバルはライバルだけど、お互いに高め合う存在ですから」

――そしてWCS、ですね。これまで日本チームの国際大会というと、DFMのPazさんの言葉を借りると「びびって」しまっていいところが出せず、終盤に吹っ切れて本来の力を出すんだけど間に合わない、というケースが何度かありました。何かそのことへの対策って考えてますか?

YutoriMoyasi「正直今日のファイナルも、やったるぞっていう気持ちだったはずなのにやっぱり最初の試合とかはみんな多少びびってたんですよね(笑)。でも、それはもうしょうがない部分があるのかなと思ってます。大きな試合の最初はどうしたって怖いから、そのことは受け入れたうえで自分の直観を信じるというか。びびって何もできずに負けるより、自分たちのやりたいことをやって力負けするなら仕方ないし、成長もできる。だからまず自分を信じて、僕たちのゲームを思いっきりぶつけてきます」

 

 この日、34コーチに聞いたら「MVPは、Moyasiです」と教えてくれました。チームの運命を託され続け、その期待に応えきったのですから、納得の人選でしょう。

 そして当の本人は、ギリギリの5試合の直後にもかかわらず、会場で発した「そんなに疲れていない」の言葉の通り、消耗の気配さえ漂わせてはいませんでした。

 最終戦、Tussleが2度倒されてチームに暗雲が漂ったときも深刻にならず「あ、ファームの時間が延びるな」と状況をあくまでポジティブに分析していたようです。そのメンタルの保ち方は驚異的で、チームメイトが「Moyasiだけは最後まで冷静」と頼りにするのも頷けます。大体、メンタルが崩れた状態では「びびってた」なんて認められないものです。WCSでも、自分の精神状態と向き合って、乗り越えるYutoriMoyasiの姿を見せてくれるはずです。

 それにしても、今回のファイナルはLJLにとってエポックメイキングでした。拮抗した紙一重の試合はもちろん、勝負どころで自然と湧き上がる巨大なチームコールは、両チームがファンの熱い指示を受けていることを改めて感じさせてくれました。

 それだけに、ちょっと心配にもなりました。この熱量がライバルチームへの敵意に変わらないといいな、と。

 とはいえ、ほかのチームのファンに「LJLの代表だからみんなでRPGを応援するべき」と言うつもりはさすがにありません。でも、選手同士は深いところでお互いのことをリスペクトしています。そうでなければ、試合直後で精神的に消耗しきっているはずのDFMの選手たちが次々とYutoriMoyasiにエールを送ったことの説明がつきませんから。
 

インタビュアー:八木葱