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Semifinal(準決勝)直前:頭をよぎる10のこと - By Kien Lam

2019/11/01, 20:15 - BY RIOT GAMES

WORLDS 2019

Semifinal(準決勝)直前:頭をよぎる10のこと - By Kien Lam

今週末はベスト4が激突する準決勝。ポケモンで言えば「かいふくのくすり」をかき集めてゲームをセーブするところ…つまり、「四天王」戦だ。LPL、LCK、LECの各地域王者と昨年度世界王者が揃った今年のWorlds Semifinal(準決勝)は史上最強の顔ぶれと言っていい。やはりWorldsには台本があるのではないかと疑うレベルだ。さて前置きはこれくらいにして、準決勝を前に私の頭をよぎった10のことを紹介していこう!

 

1. チャンピオンズリーグ(王者しかいないリーグ)

2. 史上最強の四天王

今年のWorlds準決勝をデータとして見てみると、地域第1シードが3チームと昨年の世界王者が戦うことになっている。だから私は、今年のセミファイナリストは史上最強だと考える。もちろん昨年度世界王者IG(LPL第3シード)を最後の主要地域第1シード(NA: Team Liquid)と入れ替えるほうが…と主張することもできるが、残念ながらこの論理は毎回グループステージを「論破」できないので忘れよう。開幕前の時点でもG2、FPX、SKTはトップ5に入るチームで優勝候補だというのが定評だったが、それがこういう形で現実になったのはただただ素晴らしいことだ。現在の大会形式ではFinal(決勝)が最高峰チーム同士の対決にならないこともあると思うが(それはそれでいい)、今年はどうにも恵まれすぎている。この4チームならばどこが勝ち上がってきてもFinalは最高の物語になるし、ハードコアファンもカジュアルファンも大注目の一戦となるだろう。私はふと、野生動物ドキュメンタリーで縄張り争いを繰り広げるリーダー雄たちのことを思い出す。負けたほうの雄が傷だらけで追い払われる姿を見ると、私はいつも少し悲しくなる。だがこれはWorldsだ。残念賞も、敗者のための逃避地も存在しない。ここでは最強か否かだけが意味を持つのだ。

 

3. Invictusの意味は「不屈」

IGというと、どうしても昨年のWorldsで涙を流していたRookieのことを思い出してしまう。FinalでFnaticに勝利した後、Rookieは歓喜のあまり跳ね跳びながら次々とチームメイトに抱きつき、そしてフッと静けさを取り戻し、両手で顔を覆って泣いた。数秒後、TheShyがやって来て彼を抱きしめた。そこにJackeyLove、Ningも加わり、やがて彼らはスタッフが持ってきたIGの旗に包まれた。私はこの瞬間のことをよく考えてしまうのは、彼らが今年のSummer Splitの間ずっと内部的な問題に苦しんできたからだ。それでも、彼らは勝ってみせた。スーパースタートップレーナーの活躍がなければWorlds出場すら危うかったが、それでも、彼らは勝ってみせた。今年のグループステージでは、同じくトップレーンに期待の新星(Nuguri)を揃えた新進気鋭の韓国チーム(DAMWON Gaming)、そして北アメリカ史上最強のチーム(Team Liquid)と同グループに入り、IGはここで敗退だという声も多かった。それでも、彼らは勝ってみせた。IGは誰かの期待や型どおりになるチームではない。機械のように正確無比なチームワークを武器とするチームでもない。彼らは卓越した技量を持つ5人のプレイヤーであり、ミスを圧倒的な技量で覆い隠すタイプのチームだ。試合後に振り返れば、彼らがどれだけの「穴」を避け、あるいは無視して試合を進めたかがよくわかる。GRF戦の勝ち方が良かったかと言われても私には分からないし、世界王座獲得時の彼らが「戻ってきた」ようにも思えないが、そういう分析はアナリストの仕事だ。私はストーリーを紡ぐ語り部であり、その意味で言えば彼らは間違いなく「戻ってきた」。彼らほど書いていて楽しいチームはそうそうない。そして今週、IGは再び見せてくれるかもしれない。昨年のWorldsで、ほんの一瞬だけチームがひとつになったあの姿を。

 

4. SKTという名の偉業

準決勝でSKTがG2に勝つと、FakerとkkOmaは過去7年で5回目のWorlds Final出場を決めることになる(確率5/7?もう笑うしかない)。これほどの成功を収めているからこそ大量のアンチが生まれたのだが、一方でSKTは多くの人に愛されているチームでもある。Fakerはとんでもなく感じが良いし、kkOmaだってそうだ。どちらも論争らしい論争に巻き込まれたこともない(kkOmaが結婚しないことをネタにする向きもあったが、それもあと少しで終わる!)。もちろん彼らが毎回優勝するのに飽き飽きしたという人はいるが、それは好き嫌いとは別の話だ。Fakerほど広く敬意を集めるプレイヤーはそういない。たとえば直近の試合で対戦したSPYのミッドレーナーHumanoidも、敬愛する人物の一人としてFakerを挙げている。Fakerは23歳。彼は第一世代に属するプレイヤーだが、自分に憧れてプロになったプレイヤーと対戦するほど長く活躍し続けているというのはよく考えれば凄まじい。もちろんSKTは彼とコーチの2人だけではない。kkOmaはもうステージにも上がっていないし、当のFakerだってより優秀な(あるいはその時点でのパフォーマンスが上と評価された)チームメイトと競っている。今週末対戦するG2はMSIで敗北した相手であり、SKTの敗色濃厚と評する声も大きい。私も本大会ずっとG2が優勝最有力候補だと言い続けているが、その言葉を撤回するつもりはない。ただし、だ。私は普段「Worldsに鉄板の法則はあるか?」と聞かれた時は、シンプルに「SKTが負ける予想をするな」と言っている。私はこれも、撤回するつもりはない。

 

5. ヨーロッパの王

「ヨーロッパという地域全体が強いのか、あるいはG2の圧倒的強さのせいでそう見えるだけか?」今年はそんな疑問の声を聞き続けた年だった。その後Summer Splitのプレイオフ決勝でFnaticがG2と接戦を繰り広げたことはひとつの答えになったが、準々決勝で残念な結果を見た今ならば、同じ問いを改めて問い直してみても悪くないだろう。個人的には、G2は競うべきチームがいたからこそあそこまで強くなれたのだと思っている。SPYはSKT戦でスタメンEffortが出場したゲームに3-0で完敗しているわけだからいい勝負ができたとは言えないが、彼らは別に明らかな弱者というわけではなかった。SPYがWorlds全体を通じて見せた粘り強さは素晴らしかったが、残念ながら上位陣とはまだ明確な実力差があったというだけだ。だが我々は同じ実力差を、LEC Summer Splitで彼らとG2の間に見ていたはずだ。だからこそ準決勝が楽しみになる。今年のG2は常に世界クラスのチームであり続けてきた。確かにFNCはFPX戦で振るわなかったが、試合後のプレスカンファレンスを聞く限り、この1年ずっと内部的な問題を抱えていたようだったので仕方がなかったのかもしれない。だがG2はその点問題ない。プレイヤー達はTwitter上で日常的にチームオーナーをからかい、内部イベントの日にはチームメイト同士でピンポンを遊びだす雰囲気を持ち、ほぼずっとチームとしてまとまって行動している。世界には優れたプレイヤーを擁するチームがたくさんある。ゲーム外でも仲の良いチームもたくさんある。だがその両方をG2と同じレベルで実現しているチームはごく僅かだろう。彼らはSKT相手に劣等コンプレックスをまったく(無意識下ですら)感じない世界でも数少ないチームの一つであり、これまで積み重ねてきた団結力と自信はここでこそ役に立つはずだ。

 

6. 翔べ 不死鳥よ 翔べ

先週の記事で、私はLPLの2チームはどちらも敗色濃厚だろうと書いた。どうやら私は間違っていたようだ。両チームとも3-1で勝利を収め、これでLPL勢の2年連続Final進出が確定した。あとはどちらかのチームがFinalで3ゲーム勝てばLPL勢のWorlds 2連覇が決まる。だがこの2チームは全然違うものを背負って戦っている。IGにとってはWorlds 2連覇を懸けた戦いだが、若きFunPlus Phoenixにとってはリーグ・オブ・レジェンドの歴史に名を刻むための戦いなのだ。FPXは昨年LPLに参入したばかりのチームであり、今年DoinbとTianが加入するまでは目立った成績を残せずにいるチームだった。しかし2人が加入した今シーズンは通算27勝3敗という成績でLPLレギュラーシーズン連覇を果たし、Summer Splitプレイオフも優勝している。しかし夏から現在まで、多くの人がFPXのことを「プレイスタイルがひとつだけだから、それに対策できれば勝てる」と評し続けている。だが勝率9割を誇り、Worldsでも快進撃を続けるチームのプレイスタイルがそれほどシンプルであり得るだろうか?たとえば『チームファイト タクティクス』で常にナイト構成を狙うプレイヤーがいるとする。これもプレイスタイルがひとつだけだと言えるだろうが、ナイトに何を足していくかの柔軟性は非常に高い。あるいは料理人。肉切り包丁を極めた料理人は何だって切れるし刻める。私はFPXにとってはDoinbのローム重視スタイルがこれに当たるのだと思う。彼の無私、利他的なプレイがチームの可能性を広げているのだ。対するIGには世界屈指の利己的ミッドレーナーがいるわけだから、準決勝は正反対のプレイヤーが直接対決することになる。IGはLPL Summer Splitで唯一FPXに土をつけたチームであり、両者の直接対決は2019年のLPL最強チーム決定戦と呼ぶにふさわしい「決戦」だ。Spring Split王者とSummer Split王者、昨年度世界王者と生まれたてのフェニックス。次の高みへと翔ぶのはどちらか。

 

7. Dade賞

この賞は、2013年のWorldsで凄まじい期待を背負って出場した韓国人ミッドレーナーDadeがまったく振るわなかった際にコミュニティーが生み出したものだが、個人的にはずっと好きになれない催しだ。開幕前にプレイヤーを持ち上げたメディアや評論家が、その口で「期待はずれ」だったと喧伝するなんてあまりに意地が悪いと思うのだ。別に受賞した──活躍できなかった──プレイヤーは自分で期待を煽ったわけではないのだから。と、私の意見はこのくらいにしておこう。私がこの賞を引き合いに出したのはDade賞が気になるわけではなく(本当にどうでもいい)、Worlds後にコミュニティーがプレイヤーを評価する際の方向性について話すいい機会になると思ったからだ。数ヶ月おきに同じ文句を言っているような気がしてくるが、私はどうしても、わざわざ長い時間を割いてシーンにネガティブさを持ち込もうとしている人がたくさん存在することが不思議なのだ。もちろんそういう流れは昔からどこにでもあるし、「従来のスポーツのほうがもっと酷い」という主張があるのも認識しているけれど、できればeSportsはもっと素敵な場所であって欲しいと願うことくらいは許されると思いたい。分析と、活躍しなかったプレイヤーを避難したり人格攻撃したりする行為を隔てるラインはいつだって凄くあいまいだ。でも、たとえば「あのプレイヤーは下手だ」とこき下ろすのと、単純に「あのプレイヤーは下手なプレイをした」と評するのは違う。前者は主観的だしWorldsの限られた試合数でそれを証明するのは不可能に近いが、後者を指摘するのは割と簡単だ。というわけで、私はひとまずガンジーの言葉「世界を変えたいなら、まず自分が変わりなさい」を実践し、ポジティブな賞をいくつか作ってみることにする。

 

8. ポジティブな賞、その受賞者たち

Samsung Galaxy賞:地域リーグでは「それなり」だったのにWorldsでは鬼神の如きパフォーマンスを見せたチーム
ノミネート:Invictus Gaming、Rookie
受賞者:Invictus Gaming - 彼らはSpring Splitで優勝しているが、重要なのは直近の成績であり、その直近の成績で言えばRegional Qualifier(地域最終代表決定戦)を勝ち抜かなければWorlds出場を逃すところだった。この点が大変Samsung的であり、受賞の決め手となった。

リー・シン賞:Worlds直前にバフ(強化)が来て急にメタに食い込んできたチャンピオン
ノミネート:リー・シン、オリアナ、パンテオン、ライズ
受賞者:パンテオン(ただしここまでバン率100%なので予想の域を出ない。もしかすると全出場チームがドッキリを仕掛けているだけで、実は強くないのかもしれない)。

2014年Dade賞:今大会で実際に活躍しているベテラン
ノミネート:Jankos、Doinb、Perkz、Rookie
受賞者:Doinb - 今年のWorldsは素晴らしい活躍を見せたプレイヤーが多数いるが、Fakerよりライズが上手いかもしれない(個人的には議論の余地があると思うが)という評価をあげたDoinbに賞を贈る。ミュージックビデオでライズ役を務めたFakerと比較されるのだから、これは傑出した実績と言っていいだろう。

ROX Tigers賞:極めて優れたチームでありながらSKTと当たって敗退したチーム
ノミネート:RNG、Splyce
受賞者:RNG - SKT相手に2回にわたり大接戦を繰り広げた点を評価しての受賞だ。結局敗退したため中国のフォーラムは大変なことになっているが、私としてはもっと評価されていいと思うし、グループ抽選があんな風でなければまだ勝ち残っていた可能性もあると思う。

SKT賞:毎度とんでもなく強すぎるチーム
ノミネート:SKT
受賞者:SKT

 

9. プレビュー1:IG vs FPX

IGはいわゆる「己こそが最大の敵」というチームだ。FPXがかなりの難敵であるのは間違いないが、IGの場合この点は変わらないだろう。すべてのシリンダーの動きが噛み合った時のIGは、催眠効果のあるリズムを刻むかのようにアウトプレイを連発し、見る者を魅了する。もしかしたら私は、彼らを実力以上に評価してしまっているのかもしれない。あれは孔雀が大きな翼を広げて捕食者を撃退するのと同じなのかもしれない。対するFPXも当然ながら相当の強豪だ。グループステージで振るわなかったせいで少し評判を落としているかもしれないが、第1シードだからグループステージで圧勝するとは限らない事は覚えておくべきだろう。彼らはWorldsの新顔チームだが、今や地域のプライドを背負うチームでもある。あのDoinbですら、もう自分だけの戦いではないのだと認識して以来、良いプレイをしようと凄まじいプレッシャーを感じるようになったと語っていた。だが結局こういった気持ちも、両チームがサモナーズリフトで激突する間は無関係になることだろう。IGは別に「強いIGとダメなIG」を決める魔法のボタンがあるわけではない(ここでカメラ切り替え、フラッシュインするかどうか迷うNingを映す)。両チームともミッドレーナー次第の部分が大きいが、個人的にはDoinbが担う責任のほうが重いと考えている。RookieはかなりアグレッシブにミニオンをプッシュしてDoinbをミッドレーンに留めようとしてくるだろうから、Doinbも自由にロームすることはできないだろう(DoinbならCSを捨ててでもロームするかもしれないが)。一方、ジャングルはNingがTianと比べてまだ安定性に欠ける(ここは今後も変わらないかもしれない)のでFPXに利があるだろう。この点において、Tianは勝敗の鍵を握るプレイヤーとなりそうだ。果たしてIGはこれまで通り両ソロレーンで有利を築くことができるか?あるいは機動性重視のFPXミッド/ジャングルデュオがそれを阻むのか?私はRookieとTheShyの2人が世界最高峰ソロレーナーの矜持を見せつけ、3-1でIGが勝利すると予想する。

 

10. プレビュー2:SKT vs G2

予測不能で目まぐるしい試合になることが予想されるFPX vs IG戦とは裏腹に、G2 vs SKT戦はずっと落ち着いたものになるだろう。Wunderは先日、G2はスクリム(模擬戦)ですら各レーナーのアグレッシブさをぐっと抑えてJankosがゲームのテンポ(次に行うべき行動を遂行していくリズム、とでも言おうか)を作れるように努めていると語っていた。G2はレーン戦を凌ぎきれればマクロには強い自信があるようだ。一方のSKTは、SPY戦でエリスのような序盤重視のピックを見せ、レーン戦のプレッシャーを仕上げにかかっているように見えた。これらの情報は、両チームがそれぞれに勝率が高いと判断したスタイルに向けて収束していることを示唆しているのだろうか?あるいは単にどちらも弱点を補おうとしているだけなのか?あるいは…その両方か。SKTは正統派の防御志向チームであり、先にイニシエートするよりも相手のアグレッシブなプレイにカウンターを仕掛ける能力に長けている(視界管理とジャングル状況把握能力の賜物だ)。過去のWorlds優勝時も、柳の木のようにしなやかで粘り強いテンポと、相手が大きなミスを犯した瞬間に勝負を決める姿勢が特徴的だった。一方のG2はIGのように「最終的にはアウトプレイする自信があるから」といわんばかりにテンポを加速していく──時には加速しすぎて自分たちが追いつけないこともあるが──スタイルが身上だ。両チームとも攻防のバランスを修正しようとしているものの、この試合は防御スタイル対攻撃スタイルの頂上決戦となるだろう。そして先述の通り、私はG2の勝利を予想する。LoLというゲームは「現時点において」リスクを取るチームを利すると私は確信しており、G2は取るべきリスクの取捨選択が極めて巧みだからだ。さらにG2は今年のWorldsで最もクリーンなマクロを見せたチームのひとつでもある。というわけで、シリーズ予想は…3-2でG2勝利としよう。

   ライター:Kien Lam

Kien LamはLoLesportsのコンテンツプロデューサーです。彼のすばらしい(ひどい?)ジョークと解説は上記のTwitterで楽しめます。