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Worlds 準々決勝直前:頭をよぎる10のこと – By Kien Lam

2019/10/26, 12:14 - BY RIOT GAMES

WORLDS 2019

Worlds 準々決勝直前:頭をよぎる10のこと – By Kien Lam

ヨーロッパは3チームの強者を送り込んできた。韓国も3チームの猛者が顔を揃えた。LPLからは躍進が期待される2チームが揃った。そして北アメリカ(NA)――すべての夢が死に絶える地だ――は、暗闇に突っ伏すこととなった。優勝の希望は消え、姿は見えず、闇の中に捕われたまま。生き残ったチームはあと8つ。いずれもサモナーズカップを狙う実力を備えており、ノックアウトステージは白熱した戦いになるだろう。それでは準々決勝直前、私の頭をよぎった10のことを紹介しよう!

 

1. 誰も I “NA” I
ワン、ツー、スリーストライク、バッターアウト。Worldsの過去戦績と抽選結果を鑑みれば想定外というほどの結果ではなかったとはいえ、グループステージはLCSファンにとって最悪の結果となった。今年はTLがMSI Finalに進出(昨年のWorldsではC9も準決勝に進出)したこともあり、2019年こそ北アメリカの強さを疑問視する声を黙らせられるのではないか?と私だって多少は思った。また、優勝候補筆頭ではなくても、北アメリカには国際大会で他の主要地域と張り合う実力があるはずだと考えなかったといえば嘘になる。一方で、頭の片隅ではこの結果を予想してもいた。長年Worldsを見てきた結果、身体にある種の防御機構が備わったのかもしれない。あるいは北アメリカのファンであるということは諦念と共に生きることなのかもしれない。5勝13敗というグループステージの地域成績はどう見ても大敗だが、大局的視点から見ればひとつの大会のひとつのステージの成績に過ぎない。過去の戦績に照らし合わせて毎度の事と切り捨てるのは容易いが、この結果は運命でも確定事項でもない。北アメリカが来年以降に圧勝を続ける可能性だってあるし(難しいだろうができなくはない)、仮にそうなれば今年のWorldsは例外的なものと見なされるだろう。もちろんこれは楽観的な意見だ。悲観的に見れば、北アメリカは(プレイヤー人口で見れば)比較的小規模であるにもかかわらず、たまたま目立つ地域になってしまったのだとも言える。もしかしたら我々は、巨人兵士ゴリアテが何人も存在する世界で、ダビデにありえない奇跡を起こして欲しいと願っているのかもしれない。ただ、求め続けたって悪くないはずだ。競技観戦の楽しみとは、試合が始まるたびに新たな未来を夢想できるところにあるのだから。 

2. 韓国の復活
今年のWorldsグループステージを席巻してみせた新たな(?)強豪地域、韓国。その強さは凄まじく、3チームすべてがグループを1位で勝ち抜けている。LoL eSportsを長年嗜んできた人ならば、この韓国という地域のことを聞いたことがあるだろう(念の為書いておくがこれは冗談だ)。私はグループステージ開幕前、LCKが今年のWorldsで圧倒的な活躍を見せたら、昨年のWorldsは輝かしい歴史に残る唯一の汚点として扱われるようになるかもしれないと書いた。そして今、SKTは優勝の最有力候補と評される実力を見せ、GRFとDWGも鮮烈なプレイで強さを示した。特にGRFはグループステージの最後でG2を打ちのめしたが、彼らがこうして「期待に応えて」みせたのはチーム史上初めてだったのではないだろうか。とはいえ、現段階でこの3チームのいずれかが絶対的な優勝候補だと評価するのは時期尚早だ。奇妙なことに韓国勢は近年BO5(3勝先取制)形式で苦戦しており、2018年のMSI以来BO5シリーズ4連敗中(今年のプレイインを除く)なのだ。それまでノックアウトステージでこそ尋常ならざる強さを発揮してきた地域だけに不可解な成績である。しかしその連敗記録もおそらくここで終わるだろう。もちろん対戦相手も強豪揃いだから、さすがの彼らも過去のように圧倒的優勢チームという評価は得ていないが(ただしSKTは除く。すまないSPY)、3チームすべてがここで敗退すればそれは超がつく大番狂わせと言わざるを得ない。仮にそうなったら「なぜ北アメリカは激弱なのか」スレッドを丸ごと韓国でリサイクルしてもらうことにしよう。 

3. 愉悦に浸るヨーロッパ
ここでひとつ問いたい。「ヨーロッパ代表3チームすべてがこの準々決勝で敗退した場合の落胆は、北アメリカ代表3チームすべてがグループステージで敗退した時よりも大きいだろうか?」個人的には、間違いなく大きいと思う。3チームともグループ順位は2位だったが、準々決勝の組み合わせとこれまでの成績を見れば、2チームの勝算は高いと評価して良いだろう。地元開催ということもあり、今年のヨーロッパ勢にはシーズン開始時から大きな期待がかかっている。ここで全チームが敗退すれば失望は大きい。かくいう私も、ここでヨーロッパ勢が全滅したらかなり驚くだろう。G2はグループステージ終盤でGRFに負けて失速こそしたが、彼らはまだポテンシャルをすべて発揮できていないように感じられる。グループステージは「流して」いたのではないかという気がするのだ。一方のFNCはグループステージWeek 2でSKTとRNGに完勝する強烈なカムバックを見せ(これでFNCはWorldsグループステージWeek 2の通算成績を14勝1敗としている)、優勝を目指すチームとしての矜持を見せた。Splyce?学生時代の恩師は「世の中には2種類の人間がいる。クモが苦手な者と、ヘビが苦手な者だ」と言っていた。もしもSKTが後者ならば、Splyceは大金星を挙げることだろう。冗談はさておき、Splyceにとってこの試合は彼らがWorldsの舞台にふさわしいチームであると証明する絶好の機会だ。SKT相手にいい勝負ができれば(あるいは勝てれば)「ここまで勝ち進んできたのは運だ」などと口にした者をひとり残らず黙らせることができる。総括すると、今大会でヨーロッパのファンが大いに盛り上がるのも無理はない。それだけの機運があるのだから。

4. LPLは幸運か不運か?
LPLは強いのか弱いのか?確かにUziとRNGはグループステージで消えたし、優勝争いに参加できるチームとしては早すぎる敗退だったのは事実だが、私はRNGが弱かったとは思わない。SKTと接戦を繰り返したし、負けたFnaticにも最後まで勝ち星で並んでいた。もちろん彼らが背負っていた期待の大きさは理解するし、グループ敗退はどうしたって失望の結果だろうが、個人的にはグループ抽選の結果があまりに過酷だったと考える。開幕前にも書いたが、今年のグループCにはWorldsトップ5候補が3チームも集まっており、卓越した実力を持つ強豪が1チームここで早々に脱落する運命にあったのだ。それがたまたまRNGになってしまったに過ぎない。ただし、そのLPL勢もグループステージで強烈な印象を残したとは言い難い。比較的「楽」なグループに入ったIGとFPXも何試合か落としており、Worlds連覇を目指す地域としては幸先が良くない。ただ結果論にはなるが、両チームともSKTとG2がいるブラケットに入ることは免れている。正直な話、GRFとFNCを含めたこちら側の4チームは厳しい相手を避けられたと感じているのではないだろうか。しかし何が幸運かは勝者が決めるもの。両チームが準々決勝で勝てればLPL勢のFinal進出は確定するが、個人的にはどちらも分が悪いように見える。いずれにせよ「LPLは強いのか弱いのか?」という問いの答えはあと数勝で出る。あるいは、新たな疑問を提示する結果になるかもしれないが。 

5. ユーミ・ガレンが強い理由
ハハハ、マジで一体何なんだ。今年のWorldsは既にかつてないほどユニークなピックが連発される大会となっている。実に素晴らしいことだが、さらに普段とは別のポジションに回って活躍を見せるチャンピオンも多い。ガレン&ユーミのボットレーンデュオに留まらず、ミッドトリスターナやトップエズリアル(?)、ボットシンドラもピックされた。今年のWorldsのボットレーンではマークスマンとメイジがどこまで活躍できるかを楽しみにしていたのだが、現在までのところメイジの勝率はわずか35%に留まっている。マークスマンのほうはカイ=サとザヤの活躍が圧倒的だが、これはBO1という一発勝負のフォーマットが影響していた可能性も大きいかもしれない。安全だからという理由でピックされがちだったのだとすれば、高い順能力と素早い対策が求められるBO5では各チームともフレックスピックを多用しはじめるだろう。パンテオンがバンから漏れることはまずないだろうが(現在までレッド側が毎回バンしている)、対策を用意したチームがあえてバンせず、相手に取らせる作戦を取ってきたら面白いことになりそうだ。少なくともグループステージの時よりも可能性はずっと上がるだろう。過去のWorldsでは大会の最終盤になってメタが変化したこともあった(ミス・フォーチュンサポートが初めてピックされたのは2016年の準決勝だ)。今年のWorldsメタがどのように進化していくか、今から楽しみでならない。できればナサス&ユーミによる夢のワンニャンボットレーンが見たいものだ。

6. 一番楽しみな準々決勝カードは―
もちろんFNC対FPXだ。LPL第1シード対LEC第2シードの対決だが、LEC Finalの展開が少し違っていれば第1シード同士による対戦になっていたことだろう。実力的にはWorlds Finalレベルの試合であり、またFPXにとっては本大会初の試金石となる。対するFNCはご存知の通り凄まじい困難を乗り越えてここまで勝ち上がってきた。地獄のようなグループCを勝ち抜けるよりもFPX戦のほうが楽だと主張する人もいるかもしれない。ただグループ間で実力を比較するのは難しいのは確かだが、FPXがLPL Summer Splitを圧勝してきたこと、そしてFNCとグループで戦ったRNG相手にプレイオフ決勝で圧勝してきたことは覚えておくべきだろう。FNCの「弱点」は主にミッドレーンのNemesisがチームメイトと比較してステージ経験に欠けるところだが、対するDoinbはもう5年以上のプロ経験を持つ。このマッチアップがシリーズを通じてどのような展開を見せるのか今から楽しみである。Doinbは一風変わったチャンピオンプールを持つのでFNCはバンピックで対策に苦慮することになるだろうが、ミッドレーンの勝敗は最終的にはTianとBroxahの立ち回り次第で、どちらのジャングラーが味方ミッドレーナーの活躍を「お膳立て」できるかにかかってくる。BroxahはDoinbを抑え込めるのか?あるいはTianの力で勢いをつけたDoinbがマップ狭しと大暴れするのか?いずれにせよ、この試合は今年のFinalに期待される超ハイレベルな戦いを先取りするかのような見応え抜群の一戦となるだろう。Game 5までじっくりと楽しみたいところだが、個人的には強いほうのプレイスタイルがもう一方を圧倒すると予想している。 

7. おそらく当たらない4つの予想
1. ヨーロッパ代表の3チームすべてが敗退する。敗因は、各チームがそれぞれ相性の悪い相手を引いたこと。FNCはDoinbのプレッシャーに対処しきれず、G2はDWG相手にレーンで負け、SPYはSKTに実力で押し切られ、それぞれ敗北する。
2. IGのアグレッシブさが悪い方向に出るたびにGRFがそれを完璧に潰し、GRFが昨年度世界王者に圧勝する。王者IGの時代は終わりを告げる。
3. 各チームがカイ=サとザヤをバンするようになり、ボットレーンでメイジが活躍。グループステージでの不振を吹き飛ばすように勝利を重ねる。
4. Khanに対処する術を見出したVizicsacsiの活躍により、SKTはSPYにGame 5まで追い詰められる。 

8. MVP有力候補
ガレンだ。現時点では各チームにMVP候補プレイヤーがいる。今年のトップ8チームはそれほど実力が拮抗しているのだ。もちろんFaker、Perkz、TheShyといったスーパースターも本当に素晴らしいプレイを見せてきているが、いずれも現時点では圧倒的MVP候補というわけではないし、同等の活躍を見せたプレイヤーは他にもいる。サモナーズカップを目指す者たちにとって今はまだ折り返し地点だ。それでもまだ圧倒的MVP候補がいないという状況は身体が震えるほどワクワクする。過去には準々決勝の段階で優勝を本気で狙えるのが2~3チームに絞られてしまう年もあったが、今年はどのチームが優勝してもおかしくない(SPY以外は…度々すまない!)。ただ、PerkzがG2の柱として不調に陥ったチームメイトを引っ張ってきたこと、そしてさまざまな波乱を乗り越えて再びこの場所に戻ってきたこと(これはWorldsのMVP選出には関係ないが)を考えると、個人的には彼をMVP筆頭候補に推したい。私は今でも手の内をすべて晒しきっていないG2が(僅差で)優勝候補筆頭だと考えているが、これも幅広いプレイスタイルに対応するPerkzの多才さと優れた実力があってこそのものだ。というわけで、私にとっては彼がMVP筆頭候補だ。 

9. 各チームを信じるべき理由
G2 Esports:Perkzはあらゆるレーンに投入できる万能武器だ。実はここだけの話だが、『フォートナイト』の次回アップデートではその優秀な性能ゆえPerkzがメタ武器になるそうだ。

Damwon:G2とのスクリム(模擬戦)も上々の結果を出しているという噂もある上、大きな期待を背負わずプレイできるというルーキーチームならではのメリットもある。おまけにチーム名に「Won(勝利した)」が含まれていて縁起がいい。

SK telecom T1:Faker。
Splyce:先日XerxeがFakerと握手したが、あれがパワー転送の儀式となった可能性がある。またDamwonの期待値が「低い」なら、Splyceの期待値は「マイナス」状態だ。1ゲームでも勝てば評価が上がる現状、あとはもう上がるだけである。


Griffin:確かにGriffinはBO5通算勝利数わずか1勝のチームだが、今年の黒星はすべて対SKT戦だった。果たして彼らは本当にBO5を苦手としているのか、あるいは「SKTよりは」苦手なだけなのか。もし後者ならば、それは本当に短所と呼べるだろうか?
SKT、真面目バージョン:やはりFaker…いや本当は、このチームには試合を決められるプレイヤーが何人も揃っている。Worlds史上屈指の激戦グループを1位で勝ち抜けたことも大きな自信となるだろう(彼らには不要かもしれないが)。


Invictus Gaming:各プレイヤーの技量だけなら、IGが世界屈指の強さを誇るチームであることは間違いない。もしもチーム全員の脳細胞をまとめ上げることができたら、王者が復活するかもしれない。


FunPlus Phoenix:プレイスタイルでは意外性が一番高いチームだ。またDoinbのロームに対抗するのも大変で、これは本当に「言うは易く行うは難し」というやつだ。やるべき事も理屈も理解しているのに、たった一度ミスすれば計画は崩壊する。卓越したオレリオン・ソル使いと対面する時のようなものである。


Fnatic:グループステージWeek 2を凄まじい成績で終えた彼らは、もしかすると今最もホットなチームかもしれない。Rekklesは元々かなり自信家だが、Uziを圧倒して勝ち上がってきたのだから、更に自信を高めた姿が見たいところだ。  

10. 終わりに
北アメリカ勢が全滅したこともあり、今週は敗退チームについて考えることが多かった。先に述べたとおり、敗退の原因については多くの議論がなされ、「問題解決」に向けたさまざまな提案がされている。いずれも(おそらくは)期待ゆえに生じた健全な議論だと思う。総合的に見て、TLがもっと勝ち進むはずだと期待したこと自体は良いことだろう。LCS MVPを2度獲得した今年のMSIファイナリストが準々決勝に勝ち進むはずだと考えるのは普通のことだ。しかし詳細を見るとどうだろう。同グループにLCKの第3シードとLPLの第3シードが入ったのを見て、我々は尻込みした。これが今の北アメリカの「天井」なのだろうか?結果を見る限りその通りのようだ。では他の地域の「天井」は?LPL、LCK、LECにとってはWorlds優勝だ。つまり現状において北アメリカの「天井」は3地域の「床」と同じ高さということであるが、私としてはこれが北アメリカの昇るべき距離を明確に示してくれるといいなと思う。その上で「上の階」で戦うチームを称賛したいものだ。私はこの記事の中で、今年の準々決勝進出チームはかつてないほど実力が拮抗していると書いたが、これは決して誇張ではない(今後LCKが圧勝するようなら発言は撤回するかもしれないが)。試合前に散りばめておいた物語のかけらが試合結果によって形付けられ、収束していく。それがストーリーだ。我々にできることは未来を予測することだけ。時には盲信を予測だと言い張ることもあるし、感情論を分析と言い張ることもある。だからこそ観戦は楽しい。応援とは我々の想像力が繰り返し肯定、あるいは却下されていく行程に他ならないのだ――あり得た結果と本当の結果のはざまで。 
 

ライター:Kien Lam

Kien LamはLoLesportsのコンテンツプロデューサーです。彼のすばらしい(ひどい?)ジョークと解説は上記のTwitterで楽しめます。