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MSIグループステージ直前:チームにまつわる10のこと - By Kien Lam

2019/05/10, 18:41 - BY RIOT GAMES

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MSIグループステージ直前:チームにまつわる10のこと - By Kien Lam

半年前のWorlds以降、国際イベントは開催されたか?答えはノーだ。昨年のWorldsでついた地域の格付けに誰もが納得し、ファンは論争を止めたか?これもノーだ。だがもう間もなく、より強くなった各地域の代表チームが今年初めての真剣勝負に挑む。主要地域はいずれも劣らぬスーパーチームを送り出してきた。TL、G2、SKT、現役世界王者Invictus Gamingは言うに及ばず、大会開催地域の王者ベトナムのPhong Vũ Buffalo、そして大規模なメンバー変更を経てなおLMS 7連覇を達成した新生Flash Wolvesもいる。そこでMSIグループステージ開幕を直前に控えたこの記事では、彼らにまつわる10のことがらを書いてみたいと思う。

 

1. IGと王座防衛

『ゲーム・オブ・スローンズ』でサーセイが玉座に座りワインをちびちびやりながら『Friends』の古いエピソードを観ている間(これ本当です)、世界を救うため勇敢にも雪の亡者と戦っていた者たち(訳注:オーナー自らロースター入りしたり、大会会場でホットドッグを頬張る写真がインターネットを賑わしたりとエキセントリックなイメージを出しつつも、過酷な練習の末に世界王座を勝ち取った者たち)…それがIGだ。

今年のMSIでは、昨年のWorldsを圧勝した(FNCを試合時間合計90分未満で撃破)メンバーそのままでハノイに降り立っている。一方今年はSKT、G2、TLといった世界中の名だたる強豪が彼らを打倒するべくロースター強化に励んできた。すべては国際舞台で栄冠を掴むためだ。そんな彼らにとって現役世界王者を倒すチャンスはまたとない絶好の機会である。しかし迎え撃つIGのSping Splitは不安要素なし…とは言い難いものだった。開幕後は不調が続き、Split後半こそ盛り返したものの、レギュラーシーズンの敗北ゲーム数は昨年1シーズン通算よりも多い。まだ本調子ではないと言う向きもあるが、そういう意味でもMSIは「覚醒」するタイミングとして絶好だ。

昨年のWorldsと同様、ソロレーナーのTheShyとRookieは今大会でも要注目のキープレイヤーとなるだろう。…とそれらしいことを並べてみたが、結局誰もが一番待ち望んでいるのはRookie vs Fakerの対決だ。頭でっかちのアナリストは「Rookie vs Fakerだけで勝負は決まらない」などと言うかもしれないが騙されてはいけない。だって、よく考えてみてほしい。TheShyは大会最高のプレイヤーか?と問われれば答えはおそらくイエスだ。でも彼と「Rookie vs Faker」のどちらが見たい?そういうことだ。もしも片方がノーチラスをピックしたときは僕に任せてほしい。電源コードをぶっこ抜いて強制リメイクしよう。

 

2. 覇王の帰還

この項を書き始めるにあたって、まず著名ライターBrian PhillipsがNFLについて書いた文章から一節を引用したい。

「この機械に映し出される時間が一番少ないのは誰か?敗者だ。では一番多いのは?勝者だ。敗者には、まだ我々一般人と同じ世界に存在しているという点でつながりがある。一方で、構成する原子に至るまでテレビ空間に変換され尽くされているのが勝者なのだ。そして近代スポーツ史において、BelichickとBradyが揃ったニューイングランド・ペイトリオッツほど圧倒的勝利を収めてきたチームは存在しない。だからこそ、ペイトリオッツが今年のプレイオフでは弱小だと評価した人に対し、これほど怒りの声が巻き起こっているのだ。下馬評のオッズで下回っていても構わない。だが彼らの原子がT-Mobileの着信音で構成されている限り、決して弱小チームにはなり得ないのだ」

この文章の「BelichickとBradyが揃ったニューイングランド・ペイトリオッツ」を「kkOmaとFakerが揃ったSKT」で置き換えてみる。それが僕にとってのSKTの印象だ。テレコム企業の着信音に至るまで同じだと言っていい。彼らが熱戦を繰り広げるステージが最大級のものであることを考慮すれば、ここで「機械」が意味するのは勝者を映し出す光景のことだ。紙吹雪、花火、何万人もの観衆、eSportsの深淵へと吸い込まれていく大歓声。SKTの人気はベトナムでも凄まじく、PVBとSKTのどちらが人気か?と地元民に尋ねても即答できない。ゲーム外におけるオーラの凄みでSKTを凌ぐチームは存在しない。しかもSKTはFakerとkkOmaが揃って出場した国際イベントでこれまで必ず決勝進出を果たしているのだから、世間の注目がブラックホールのように彼らに吸い寄せられていくのも当然だろう。IGは確かに現役世界王者だし、ヨーロッパはG2がトロフィーを掲げる様子を待ち望むだろう。しかしどちらのチームも、これほどの大舞台でSKTに勝利したことはない。

落胆の2018年と失望の2017年を乗り越えてSKTのメンバーは一新されたが、Fakerは未だ最注目プレイヤーだ。ただし今大会のSKTはもしかすると新ADC TeddyとWorlds Final MVP経験者のMataを中心に試合を進めることになるかもしれないが。彼らが国際大会に姿を表すのは実に1年半ぶりで、チームと韓国の栄光を取り戻す気力は十分だ。だからこそ、世界がミッドレーンに注目することになるだろう。

 

3. ヨーロッパの高い期待

G2メンバーの個々人の実力は凄まじく、あのCapsですら最高のメイジプレイヤーではない。というのも、最高のメイジは間違いなくJankosのモルガナだからだ。SNSを熱心にチェックしているならば、G2のGはジーザスのG(注:正確には「J」esusだが)だという説を信じているかもしれない。…これには一理ある。

LEC Spring Splitを全く見ていない人はご存じないかもしれないが、今季のG2の試合は最高のエンターテインメントだった。彼らはまるで、ピッチャーなのに打率が良いマンガの主人公みたい(大谷、キミのことだ)だった。LEC Spring Split Finalは合計試合時間80分未満で圧勝、うち1試合は名実ともにヨーロッパ2位の強豪を18分で下している。当然これはヨーロッパリーグ史上最速記録だが、プレイオフ決勝でそんな勝ち方をしてみせるのだからその強さは馬鹿げているといっていい。このシリーズではまずボットレーンにソナ・タリックを置く戦略を見せ、次戦で相手が同じ手を取るとファネリング戦略で対抗し、最後にはボットにニーコをピックしてみせている。

Spring Split開幕前、Perkzがボットレーンに移動してCapsにポジションを譲ったのは大胆な手だった。もちろん噛み合わない時もあったが、最終的にこの采配は今大会最大の武器になりそうだ。Perkzは最高のADCではないかもしれないが、メイジを得意とする彼は間違いなく大会屈指のボットレーナーである。G2は個人的にグループステージで一番注目しているチームだ。今年はここまでゆるいプレイで勝ち進んで来たが、この大会ではすべてを仕上げて来るだろう。最大の不安材料は控えサポートのpromisqが現在怪我で療養中のMikyxの代役を務められるかどうかだ。大舞台を迎えるチームにとっては大きな痛手だが、ここまで来たらあとはチームの総合力で補えることを証明するしかない。

 

4. リキッドに浸れ

僕はここでTLが躍進すると読者を説得しようとすることもできる(実際にそう信じてもいる)が、ほとんどの北アメリカのファンはもう半ば諦めているので、おそらく誰も僕の言うことなど信じてくれないだろう。北アメリカファンは「信じる」ことを忘れてしまったのだ。Team LiquidはMSI初戦(プレイインノックアウトステージ)でベトナムのPhong Vũ Buffalo相手に3-0で快勝してみせた。このシリーズでは不可解な小規模戦にばかり注目が集まってしまったが、僕はTLのプレイがまずかったとは評価していない。結局のところ彼らはLCS Spring Splitと同様にチーム力で試合に勝ったのだから。オブジェクト管理でPVBを圧倒した流れを、これからのグループステージでも期待したい。

Team Liquidというチームはハイリスクなアウトプレイで相手を制していくチームではなかったし、これは今大会でも同じだろう。この我慢強さは乱戦になりがちなグループステージでは有利に働くはずだ。過去の北アメリカチームはマップを抑えて先に仕掛けることができず苦戦したが、今大会のTeam Liquidは適切なオブジェクトに対して正しいタイミングでローテーションしていくことに長けている。派手なプレイが持ち味のチームではないため上述の3チームと比較して期待感や興奮感は薄いかもしれないが、派手さは強さではない。そして何よりも重要なのは、今大会のTLは国際イベントに出場する北アメリカ代表チームとして史上屈指の実力を誇るということだ(これに並ぶのは2013年のC9と2016年のTSMだろう)。もしもこのチームが活躍できないなら、北アメリカという地域にはもう絶望しかないかもしれない。Doublelift、今回こそグループステージを突破してくれるね?

 

5. オオカミの群れは新世代へ

かつてFlash Wolvesを支えていたスター、Karsa、Maple、SwordArTの3人はLPLへと旅立ってしまった。昨年のWorldsグループステージではMADとG-Rexが合計0-12という成績を残した。LMSファンが悲観的(これもマイルドな言い方かもしれない)になるのも無理はない。しかし国際大会の問題(あるいは面白いところ)は、抱く希望や期待がどれだけ弱くとも、応援するチームがステージに上がれば、あるいは試合前にジョークを言い合う時が来れば、どうしたって全力で期待し、応援してしまうところだ。一度でも応援するプレイヤーの笑顔を見てしまえば、その先にどんな深淵が待っていようと、甲冑に身を固めて全力で突進してしまう。彼らがキルを取れば、1ゲーム勝利すれば、ファンの頭にはたとえ一瞬であれ「もしものシナリオ」が浮かんでくる。そして今大会、Flash WolvesはVega Squadronを3-1で破りグループステージ進出を決めた。だが例年と違いLMSファンの期待はそう高くない。

FWは確かにSplitプレイオフで優勝したが、これは後半に上り調子に乗れたからだ。レギュラーシーズンをなんとか2位で終えた今季と、31-3という昨夏の成績ではコントラストがあまりにも凄まじい。昨年から残っているメンバーはADCのBettyとトップレーナーのHanabiのみ。今シーズンあまりLMSを追ってこなかった我々にとって、彼らがどれだけチームの支柱として活躍するのかは興味深いところだ。プレイインステージで試合経験を積み多少なりプレッシャーを軽くできたことは、今後チームがのびのびとプレイする上で良い影響を与えることだろう。Flash Wolvesファンの垂れ幕には「信念を貫け」と書かれている。今年の彼らにとって、それが例年以上に必要なものであることは間違いない。

 

6. 進撃のバッファロー

お気に入りの古いLoL動画のひとつに、リー・シンが主役の「When the Q lands(Qが当たる時)」がある。この動画はPVBというチームを表しているように感じられてならない。VCSは世界で一番キル数の多い地域だ。PVBは同地域の中では比較的好戦的ではないチームだが、電光石火のテンポを武器にグループステージへと名乗りを上げた。

Team Liquid戦でも、戦闘の匂いがする時は喜んで仕掛けていくような好戦的スタイルの一端が見えたと思う。「取り憑かれたかのように壁にぶつかり続ける午前4時のネコのように」と形容したいところだが、彼らの場合「午前4時」ではなく「常に」が適切かもしれない。他のチームが「戦闘後にどんな有利を作れるか」を考えて戦闘を始める一方、PVBはキルを稼ぐために戦闘を仕掛けるように見受けられる。理屈の上ではゴールド差を作れるので良い作戦のはずだが、このせいで重要なオブジェクトまわりでの戦闘において有利な位置取りができないことがある。劣勢の中で戦闘を続ければ、たとえどれほど卓越した技量を持っていても最終的には押し切られてしまう。一方で、VEG戦ではメンタル面での粘り強さと多少の辛抱強さを見せ、相手にリバーススイープをさせない立ち回りも見せた。0-2から追い上げてくる相手の勢いを止めるのは非常に難しいことだが、ここで彼らは従来よりもずっとスローペースな試合運びを見せて勝利を掴んでいる。

これまでのベトナム代表チームは苦境に陥るとさらにアクセルを踏み込むという対策を取ったために敗退していたが、その点彼らはグループステージのあいだに進化・適応する余地を残していると言えるだろう。また地元開催であるため熱狂的な歓声も彼らを後押しする。数千人の地元ファンの前で1週間戦い抜くことになる彼ら。その先へ進めるかどうかは、歓声の大きさにかかっているのかもしれない。

 

7. 個人的に楽しみなMSIストーリー

僕は「徒労」を見るのが好きだ。要するに、チームが全力を尽くして挑戦した上で、それでも負けてしまう姿が好きだ。そこにはこれぞ人間、という何かがあると思う。結局僕は「強い悪役」が好きなのだろう。そしてリーグ・オブ・レジェンドの歴史において、FakerとSKTほど他者の夢を打ち砕いてきた者はいない。Epik Highの歌『Amor Fati』は「神は僕を愛していない」という歌詞で始まるが、僕はMSI―覇者だけが集い、真の覇者を決める大会だ―の事を考えるたびにこのフレーズが頭をよぎる。

各地域の代表チームは時に地域史上最強チームと評されて出場するのに、結局Fakerに打ちのめされる。サモナーズリフトに顕現せし神。データだけ見れば、僕だってアナリストたちが口を揃えて言う「一番怖いチームはSKTではない」という意見に同意するが、さっきも言ったようにSKTという存在はデータやリプレイを超えたチームなのだ。今大会には様々なストーリーが渦巻いている。PVBは地元観衆の前で勝利を目指す。Flash Wolvesは「LMS未だ死せず」を証明するべく戦う。IGは伝説を刻もうとしている。G2はヨーロッパ待望の国際大会優勝が現実味を帯びてきた。本当に目と鼻の先にまで。TLも北アメリカが約10年にわたりまみれてきた汚名をすすぐべく作られたチームだ。

そしてプレイヤーに目を向けてみても、最後のオオカミとなったBetty、初のグループステージ突破が見えてきたDoubleliftなど魅力的なストーリーがたくさんある。それでもなお、僕にとってはFakerとSKTがそれらすべてを打ち砕いていくというのが究極のストーリーだ。昨年のWorldsの後では、もはや韓国恐るるに足らずと思うチームは多いかもしれない。Fakerもかつてほど圧倒的な存在ではなくなったかもしれない。しかし「死」について我々が恐れているのは「死」そのものではなく、「死」がいつ・どう訪れるかを決められない点だ。そして人間が死を避けることができないように、出場チームはFakerを避けることもできないのだ。

 

8. 個人的にどうでもいいMSIストーリー

これはいつもと同じ答えになる。ヨーロッパvs北アメリカだ。興味がない理由には2つの側面ある。ひとつめは、LoL史に照らせば比較にならないこと。ヨーロッパは明らかに北アメリカよりも良い成績を残しているし、国際大会で両地域が対決した時の結果も大半がヨーロッパの勝利に終わっている。昨年のWorlds準決勝Fnatic対Cloud9が直近の例だろう。

ふたつめは、過去の結果は現在の結果に何の影響も及ぼさないという点だ。リーグ・オブ・レジェンドは2週間ごとに進化していくゲームだし、サモナーズリフトという場所は降り立つたびにまっさらな状態で始まるのだから。前回の試合で築いた有利を引き継ぐことはできない。少なくとも、目に見える形では。つまり「どちらが強かったか」の議論は「今どちらが強いか」とは無関係なのだ。直接対決が終わるまでこの疑問の答えは出ない。答えが出ればいつものごとく馬鹿らしい論争がスタートするだろう。だが、たとえばピザはイタリアのものだが、アメリカのピザのほうが美味い、といった議論に意味はあるだろうか?いや、ない。もちろん愉快な言い争いはあってもいいと思う。ライバル関係が存在するのだから当然だ。しかしそれを敵意むき出しにする言い訳にするのなら話は別だ。僕の要望に意味などないかもしれないが、どうせ炎上させるなら、せめて面白く燃やそう!

 

9. 各チームの勝利条件

Flash Wolves:

1. Bettyが戦闘を仕掛けたら「Whoa, Attack Betty, am-a-lam!」と歌う(注:1939年リリースの楽曲『Black Betty』のパロディです)
2. オオカミは実は群れで生活する動物だということを忘れない

 

G2:

1. Jankosにモルガナを与える
2. Perkzのピックを適当に選ぶ時は、せめて得意なチャンピオンに絞っておく

 

Invictus Gaming:

1. オーナーのWang Sicong氏にホットドッグを食べさせておく
2. Worlds 2018まで不振続きだったIGの7年間をまとめたモンタージュ動画を流す

 

Phong Vu Buffalo:

1. 「やれる」は必ずしも「やるべき」ではないことを肝に銘じる
2. いいからタワーを殴れって!

 

SK telecom T1:

1. Fakerをちゃんとスタジアムに連れてくる
2. TeddyにJin Air所属に戻ったと信じ込ませて超絶ソロキャリーさせる

 

Team Liquid:

1. Steveが他のチームを買収する(免責事項:これはジョークであり、私たちはそのような行為を決して認めません)
2. Steveが免責事項を書いた人間(僕)を買収する

 

10. 勝者予想

僕の頭脳はInvictus Gamingの優勝を予想するが、直感はSKTだと告げる。占いマシーンはTLだと予言する。ヨーロッパはG2だと言うし、ベトナムのカフェで隣に座っている知らない人はPhong Vuが勝つという。そして同じチームにいる台湾出身のデリバリーリードはFlash Wolvesの勝利を確信している。ではあなたのMSI勝者予想は?ぜひ教えてほしい。

   ライター:Kien Lam

Kien LamはLoLesportsのコンテンツプロデューサーです。彼のすばらしい(ひどい?)ジョークと解説は上記のTwitterで楽しめます。